インタビュー

FORCE OF NATURE

掲載: 2002年08月08日 12:00

更新: 2003年02月10日 14:51

あらゆる活動を通じて賞賛を集めてきたFORCE OF NATUREが、自在に羽ばたくブレイクビーツ・ミュージックの最高峰を描き出した。これは芸術品なんかじゃない! 素晴らしい躍動感に溢れた音楽だ!

四街道ネイチャーでも行動を共にしていたKZAとDJ KENTの2人によるプロデュース・ユニットがFORCE OF NATUREだ。その活動はすでにさまざまなアーティストのプロデュース/リミックス・ワーク(U.N.K.L.E.、Rhymester、SHAKKAZOMBIE、SUIKENなどなど)としてヒップホップ・フィールドを中心に展開されてきたわけだが、ユニット結成から3年を経て、ついにユニット名義でのアルバムが発表されることになった。これまでのプロデュース/リミックス・ワークはもとより、四街道ネイチャーのアルバム『V.I.C.Tomorrow』(98年)における、ずばぬけたサンプリングネタ選びのセンスと構成力によって、知る人ぞ知る存在となっていた彼ら。すべてをインスト・トラックで固めた今回のアルバム『the forces of nature』へと至るユニットの出発点も、やはりそんな四街道ネイチャーとしての活動にあった。

「“Urban Combatt 2001”(アルバム『V.I.C. Tommorrow』からの先行カット“惨事”のカップリング曲)で初めてインストを作ったときに2人とも〈掴んだ〉っていうか、これでイケるんじゃないか、みたいなところがあった。それが転機になって、この線でいこうってことになったんですよ。四街道のアルバムを出してから自分がラップすること自体に興味がなくなって、曲作りのほうに興味がいったっていうのもあるし」(KZA)。

 件の“Urban Combatt 2001”がヒップホップ・インストとして見事に完成されていたこと、そしてそれが収録されていた『V.I.C. Tomorrow』全体の完成度も併せて高かったことを考えると、ハウスやテクノに通ずる音楽性を実現した今回のアルバムは、自分たちの作る音楽としてはヒップホップを通過した彼らの、次なる一歩にも見える。しかし、本人たちにしてみれば、それはどうやら意図的な結果ではなさそうだ。

「とくにどうしようとかっていう目標や狙いは全然なくて、自然体。意識はしてなかったですね」(KZA)。

「ハウスやテクノも好きだし、自然にやりたいことやったらこうなったっていう感じでした」(DJ KENT)。

 それはむしろレコーディング環境の変化に大きく関わっているようで。

「KENTの家のシステムで録るようになって、スタジオに行かなくてもいろんなことができるようになったのが大きい。それで作り方自体の幅も広がったし」(KZA)。

「スタジオに行くと時間を気にしたりとかしちゃうけど、それがなくなったから、自由度は確実に増えました」(KENT)。

 同時にそれは、サンプリングのネタ選びにも関係してる、とも。

「ネタを選ぶ幅が広がった。四街道の頃はファンクとかからブレイクを取ってきたりとかしてたけど、今は耳に引っ掛かったものをなんでも使ってる」(KENT)。
 このアルバムに収められた11の楽曲は、持ち前の構成力や展開力からしてみればむしろシンプルな印象さえ受けるが、それぞれのループが、ひとつとして途切れることのないグルーヴで貫かれているという点において、より強靱な音楽となっていると言えるだろう。そしてまたそれは、さっきも書いたように、彼らにとってヒップホップの次に来る新たな展開ではない。あくまでも、さまざまに広がる活動の一側面なのだ。

「アルバムも作ったし、これからはヒップホップの仕事を増やしたいなと思ってる。バウンス・ビートを作りたくて、現在は研究中なんです」(KZA)。

「テクノやハウスとかの影響をもっと出していけたらおもしろいな、って思ってますね」(KENT)。

 取材の合間にも、「80年代のニューウェィヴ・ディスコ・ダブみたいなのとか、イジェット・ボーイズとか、その周辺のUKハウスがいい」(KENT)、「CDを買ってるのはヒップホップで、アナログはテクノとかエレクトロですね。ヒップホップはメンフィスとニューオーリンズのバウンスが好き。テキサス系の哀愁はちょっとダメで、アトランタもちょっと洗練されちゃってて……」(KZA)などなど楽しそうに音楽を語る2人。その国境を越えたインスト・ミュージックの先にあるのはいったいどんな音楽だろう?


FORCE OF NATUREとして楽曲を提供したコンピ『Art Of War』(Mo'Wax/トイズファクトリー)

▼ FORCE OF NATUREがリミックス/プロデュースした曲の収録作品。

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ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/一ノ木裕之