インタビュー

DJ Vadim

掲載: 2002年10月10日 11:00

更新: 2003年02月13日 10:51

B・ボーイ・サイエンティストの新たなる挑戦は、有機的で色彩豊かな新作へと結実した!!


 UK出身のDJヴァディムは、インスト作品であるデビュー作『U.S.S.R. Repertoire』をリリースして以来、〈アブストラクト〉という言葉で括られてきた。しかし、その〈アブストラクト・ヒップホップ〉という言葉に反抗するかのように、99年の2作目『U.S.S.R. : Life From The Other Side』ではラッパーを起用し、より伝統的なヒップホップに挑戦した。そののち彼は数人のミュージシャンやラッパーといっしょにロシアン・パーカッションというバンドを組み、アメリカとヨーロッパを200か所も回っている。この体験こそが、3作目となる『U.S.S.R.: The Art Of Listening』のインスピレーションになった。

「ツアーをすることによって、アフリカのミュージシャン、インド人のタブラ奏者、日本人の尺八奏者、ハープ奏者などに出会って、アルバムでいろんな伝統楽器を導入しようと思ったんだ。だから、このアルバムではいろんな言語、ヴァイブレーション、サウンドがミックスされていて、普遍的な作品になったんだよ」。

 これほどまでに音色が豊かで細かいプログラミングが施されたヒップホップ・アルバムは少ないが、ヴァディムは「曲は何十回もエディットして、一瞬しか出てこない音もあるんだけど、そうすることによって、変化と深みを出したかったんだ」と語っている。ヴァディムの妻である詩人/ラッパーのヤラ・ブラヴォー、ギフト・オブ・ギャブ(ブラッカリシャス)、スラッグ、TTC、またトライブ・コールド・クエストなどにサンプリングされてきたポーランドのジャズ・シンガー、アーシュラ・ドゥジアックなども参加しており、非常にゲスト陣が多彩な作品でもある。

「サンプリングするときは、誰も使ったことのないレコードを使って、それを認識不能になるまで、細かく切り刻んでプログラミングするんだ。だから、僕のサウンドに似てる人はいないんだよ」とヴァディムは言うが、まさに今作は唯一無二のヴァディム・ビーツと有機的に絡む楽器の音、そして優れたヴォーカリストの共演が楽しめるアルバムとなっている。ギミックに頼らない、静かなるラディカリズムが漂う作品なのだ。もう〈アブストラクト〉とは言わせない。

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ソース: 『bounce』 236号(2002/9/25)

文/バルーチャ・ハシム

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