インタビュー

ハナレグミ

掲載: 2002年12月12日 16:00

更新: 2003年02月13日 12:06

ソロ・ユニットでさらに際立つ永積タカシのヴォーカリゼーションと、そのグルーヴ感!


 80年代に〈壊した家を出たくせに 今私たちは新しい家をつくる〉と矢野顕子は歌ったけれど、同じようにハナレグミこと永積タカシは“家族の風景”で、何気ない日常とお茶の間のヴィジョンを、淡々とそして辛辣に描く。そんなハナレグミのサウンドを彼は〈開放する感じ〉と表現する。

「スーパーバタードッグの音楽観というものがバンドのなかに次第にできてきて、そうするとバンドでは表現しきれない部分が出てきて、だんだんそれが気になりだしてきちゃったんです。それを〈抑える〉んじゃなくて形にしたほうがバランスがとれるような気がして」。

 スーパーバタードッグでの名曲“サヨナラCOLOR”という大きなステップのあと、ひときわグルーミーな音楽を虚空から捕まえようとしている。アルバム『音タイム』には、彼がもともと持っていたシンガー・ソングライター的側面が色濃く表れているものの、一見ひどく穏やかなそのアコースティック・サウンドには、心沸き立つグルーヴが含まれている。

「弾き語りのスタイルでもリズムって大事なんですよ。一定のリズム感ではないけれど、刻むだけじゃなくて伸びる――アコギをジャーンって鳴らしたなかで歌うっていうのもリズムだと思うんですよね。そういう部分をハナレグミでは強調してると思います」。

 ブッカーT&ザ・MGズ“Jamaica Song”のカヴァーを筆頭に、セカンドライン、カントリー、ラグタイムとうつろいながら、Polarisやクラムボン、そしてNathalie Wiseといった気心の知れたミュージシャンと共に静かな高揚感を醸し出している。そして『音タイム』の、人肌の温もりに似たテクスチャーには、うたとバックグラウンドという不文律ではなく、楽器と声が有機的に呼応している。

「音楽やっているなかで、自分の位置としては、やっぱりヴォーカリストだと思っていて……だから歌えるんだったらどんな場所でも歌ってみたいんですよね、うん」。

 音を奏でるサークルのなかで研ぎ澄まされ、必然的に生まれる緊張感。そして昭和の歌謡曲のいくつかがそうであったように、刺々しさや陰影をポップスとして届けること。そして〈幸せだって 言ってしまうんだよ〉と言い切る強さ。それらをハナレグミのうねりは抱えている。

ハナレグミ『音タイム』に参加したアーティストの作品を紹介。

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ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/駒井 憲嗣