NATSUMEN
掲載: 2005年03月03日 12:00
更新: 2005年03月03日 19:19
BOATのAxSxE率いる新バンドの初アルバムは、美しくも狂おしい〈人間力〉の塊だ!

ビーチ・ボーイズや映画「エンドレス・サマー」のブルース・ブラウンなど、ジャンルや時代を問わず、幾多のアーティストを引き付けてやまない〈夏〉という季節。ここ日本にも、そんな狂おしい季節の陽射しにヤラれ、取り憑かれたとしか思えない最高のインストゥルメンタル・バンドが登場した。その名はNATSUMEN。2001年にアルバム『RORO』を残して活動休止したBOATのAxSxE(ギター)とアイン(ギター)が2002年に始動させたNATSUMENは、ライヴを重ね、大幅なメンバーチェンジを経て、3人の管楽器隊を含む8人編成のバンドに発展。LOSALIOSの中村達也をゲストに迎え、ファースト・アルバム『Endless Summer Record』をリリースする。
「夏という季節にはこだわりがあります(笑)。夏になっても何を始めるわけでもないし、気が付いたら9月になってる感じなんですけど、夏が終わりそうな感じが好きで、なんか泣きそうになるし、9月20日くらいになると熱海とかに行きたくなる」。
そう語るのは音楽的リーダーのAxSxE(ギター:以下同)。皮膚感覚的には、ジャム・バンドとも、ハードコア・パンク・バンドとも、はたまた人力トランス・バンドとも異なる、ある種の割り切れなさに、名付けられていない真っ新な音楽の誕生を思うが、そこに難解さはまったく感じられない。飛び散る波のように散りばめられた美しく狂おしいメロディーが、聴き手の心をきれいに押し流してくれるのだ。
「インスト・バンドっていうと、ポスト・ロックみたいにも思われるかもしれんけど、そういうバンドっていっぱいいるから、そういうふうにならなくていいかなって思ったし、ポリリズムやったらポリリズムで、その難しさに挑戦して、反復練習してた時期もあるんですけど、それも飽きちゃって。そうこうしてるうちにどんどんグチャグチャになってきてしまった(笑)。プロデュースしたon button downのアルバム? 人の作品では冷静でいられるんですけど、自分の作品となるとどうしてもこうなってしまいますね」。
本作とほぼ同時期にリリースされるon button downのニュー・アルバム『NORDIC FOREST』では彼らのアヴァン・ポップ・センスを相当に高い解像度で具現化することに成功しているAxSxEだが、当初はライヴ盤になる予定だった『Endless Summer Record』では、気付いたら、ライヴで試したことのない新曲をレコーディングしていて、しかも、その素材を彼1人で1か月をかけて再構築してしまったという。
「そんなことより、極めたいのは〈人間力〉ですね。今のメンバーになって、みんなの人間力が出せる感じを探っていったら、こういう形になった。人間力や感情、それがグッと感じられないと駄目だ!って感じですね」。
彼らを突き動かす濃厚な人間力や強い感情。それらは刹那的な夏の一瞬、そしてサイケデリックな感覚とイコールである。
「サイケはもともと好きで、昔やったら、ジャーマン・ロックとかだったんですけど、今はかつてのフリージャズがサイケに感じられるようになってきたり、その時々でサイケって思うものが違ってきてて。それこそ、花火はサイケですよ! 表面上の景気の良さと侘びしさっていう二面性があると思うし、観てる時の感情はうまく言葉にならないんですけど、自分にとって花火はデカかったですね。花火みたいになりたいっす!(笑)」。


