インタビュー

般若世界を漂う、うらぶれたブルースたち

掲載: 2005年03月03日 12:00

更新: 2005年03月10日 15:13

 般若といえば、暴れん坊チューンやシアトリカルな露悪曲のみで認識されがちではある。しかし、特にソロ作の場合は、自分の足元に目を落としたような内省的な楽曲が印象的に響いてくるのだ。あまり知られていないソロ・デビュー・シングル“極東エリア”(2001年)の時点でその色はあったが、新作『根こそぎ』でもほとんどブルースと呼びたい“遠吠え”や“サイン”のような名曲に出会える。本文中に名前の出てくるナズの『Illmatic』のように、そこにはうらぶれた美しさがあるのだ。そのナズの他にインタヴュー時に般若の口から挙がったアーティストの名は、スヌープ・ドッグ、ブルーハーツ、椎名林檎、そして50セントなどだった。50といえば“In Da Club”の節を引用した“七転八倒(みんなBAD BOY)”のルーズな語り口も聴きモノだろう。その他に目立つのは、独特の任侠的なサブジェクトだが、かつて般若はクラシック「仁義なき戦い」における菅原文太のパンチラインを“タイムトライアル”(『おはよう日本』収録)のリリックに取り込んでいたこともあり、その影響は大きいと思われる。さらに、重要なのは長渕剛だろう。トリビュート盤『Hey ANIKI!』や例の〈桜島〉での共演に続き、『根こそぎ』には長渕の“心配しないで”に着想を得た“心配すんな”もある。そうでなくても般若が地元への愛憎を語る姿は長渕が鹿児島を歌う様子にもダブる。両者の共演に違和感がなかったのも当然だ。

▼文中に登場した作品を紹介。

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ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/出嶌 孝次

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