インタビュー

Kelly Osbourne

掲載: 2005年07月07日 16:00

更新: 2005年07月07日 18:36

タイトになったのはボディーだけじゃない! 
ケリーの新作は洗練されたダンス・ポップよ!!


 ミュージシャンとしてのケリー・オズボーンは、自分の不利なポジションをよく理解している。二世アーティストにしてTV番組が生んだセレブでもあるだけに、世間は疑い深い。しかも、2002年にリリースしたポップ・パンク風のデビュー作『Shut Up』は本人にとっても不本意な内容で、さんざん批判され「音楽を辞めようと思った」とまで言う。それでも移籍を経て活動を続けた理由は、月並みだが音楽への愛情なのだろう。2003年末には父オジーとのデュエット“Changes”を全英1位に送り込んで意欲を回復。そしていよいよ、あのリンダ・ペリーのプロデュースによるセカンド・アルバム『Sleeping In The Nothing』を発表する。

 けれど、完成までの道は平坦ではなかった。まさに着手しようという時に鎮痛薬に依存していることが発覚。ソングライティングは施設でのリハビリと並行して行われ、「セラピーみたいなアルバム作りだった」とケリー。だからこそ、本作は彼女への評価を塗り替えるだろう作品に仕上がっている。そのキーとなったのがリンダだ。曲作りでもケリーとコラボし、深く自分を掘り下げて作詞するよう促したという。

「リンダに鉛筆と紙を渡されて外で詞を書いてくるように言われて、戻って見せると〈韻を踏むだけじゃ意味ないでしょ。やり直し!〉と突き返されるわけ。内面を曝さないとバレちゃうから、リアルであることの重要性を教わったわ」。

 そんな風にして薬物中毒との闘いや失恋を題材に綴った詞は、内省的で傷つきやすく、洞察力に長けた素顔を伝えている。そしてサウンドはといえば、ずばり80's。メランコリックでクールなエレクトリック・ダンス・ポップで、フェイントやフィッシャースプーナーにも通ずる旬の音と言えよう。84年生まれの彼女がそれを「自分らしい音」と表することには違和感がなくもないが、子供時代に父の部屋にあったジュークボックスでさまざまな時代の音楽に親しみ、いちばんのめり込んだのが80年代なのだそう。また歌い方も一新し、抑制の利いた声が言葉の赤裸々さを強調。これまた〈過去に受けたレッスンをすべて忘れて〉とのリンダの助言に従った結果で、自分の中にある知らなかったなにかを引き出してくれたのだとか。

「好きだと公言したくないタイプのアーティストだとは思うけど、このアルバムを聴いてわたしを好きになってほしい」。

 そう、天晴れな成長の跡を率直に認めて、彼女の再出発を祝してあげてほしいものだ。

▼ケリー・オズボーンの作品を紹介

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ソース: 『bounce』 266号(2005/6/25)

文/新谷 洋子