Arctic Monkeys
掲載: 2006年02月02日 11:00
更新: 2006年02月16日 19:07

カナダのアーケイド・ファイア、USのクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーなど、
ネット上の口コミとダウンロードとライヴであっという間に世界的な高評価を集めるバンドは、最近決して少なくない。しかしシェフィールドから飛び出した19歳&20歳の4人組で、〈ダウンロード世代の最初のロックンロール・スター〉と呼ばれるアークティック・モンキーズの人気は、とにかくケタ外れ。2002年のクリスマスにギターを手にし、2004年の秋にシェフィールドの外で初めてライヴをしたというこのバンド。2005年6月のUKでの初ツアーは早くもすべてソールドアウト。先日行われた1日限りの来日公演でもあっという間にチケットがなくなったので、急遽昼と夜の2回公演になったほど。超限定で作られたミニ・アルバム『Five Minutes With Arctic Monkeys』はいまや手に入れることは不可能に近いし、来年はなんと3週間しか休みがないそうな。とはいえ、当の4人は至って平常心だ。
「僕らは、流行とかとは別の場所に自分たちの居場所を作りたい。だって最近はさ、ニューウェイヴとか、例えばジョイ・ディヴィジョンみたいなサウンドを出すバンドが生まれたら、あっという間に流行がそれ一色に染まってしまう。でもそういう流行は、来年にはまた違うものになる。僕らは、そんなバンドになりたくないんだ。むしろ良いものを作りながら、シーンからはちゃんと別の場所に存在するようなバンドでありたい」(アレックス・ターナー)。
ステージ上で自信満々に観客を煽ってみせる姿とはまた違い、インタヴューに応える際のアレックスはボソボソした口調。それでも、〈流行とは違うことをやっていきたい〉という意志が、真剣に獲物を探す小動物のようなまっすぐな瞳から前面に伝わってくる。そんな彼にとって良い音楽とは、「ただ〈新しいもの〉かな。何かのレプリカみたいなものじゃなく」という。だからこそ、共感を覚えるバンドとして出てくる名前も頷けるものばかり。
「興味があるのは、コーラルやリバティーンズとか、ストロークス。すごくリスペクトしてるよ。なぜなら彼らは違うスタイルの音楽をやろうとしてるから」(アレックス)。
「ただ……俺らは他のバンドに比べて世代的に若すぎるかも。そういう意味で共感するバンドは、特にいないかな」(ジェイミー・クック)。
60年代風のモッズ風味のサウンドがあるかと思えば、畳み掛けるようなビートもあり、いっしょに歌える曲もあればパンクもブルースもスカも――彼らのファースト・アルバム『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』に充満するサウンドからは、当然のように多種多様な要素が聴き取れる。60年代のロックンロールと何がもっとも違うかといえば、この強烈な折衷主義だろう。加えて、10代にしか出せないであろう凄まじい熱気がある一方で、タメやヒキをしっかり意識した音作りには〈初期衝動〉などというお手軽な言葉ではまとめられない気迫がある。それでいてメロディーラインはポップな希求力を置き去りにしていないし、畳み掛けるようなヴォーカルは、「ストリーツに歌詞の面で共感する」というアレックスならではの言葉が次々と溢れ出すスタイルだ。
「ただ、テクニックの面では自分たちでもまだまだだと思ってる。でも、テクニック的にまだできないことがあると、それがサウンドに〈何か〉を付け加えられるのもまた事実なんだよね。テクニック重視のバンドだと、それも悪いことじゃないけど、そのテクニックを前面に出そうとクソみたいな別の音楽をやりたくなるかも」(アレックス)。
とにかく、冷静。自分たちのことをよく見ている。そういうバンドは確実に長生きする。
PROFILE
アークティック・モンキーズ
アレックス・ターナー(ヴォーカル/ギター)、ジェイミー・クック(ギター)、アンディ・ニコルソン(ベース)、マット・ヘルダース(ドラムス)から成る4人組。2003年頃にシェフィールドで結成。インターネット上の口コミのみで着実にファンを獲得し、自主制作でリリースされたファースト・ミニ・アルバム『Five Minutes With Arctic Monkeys』で一気に知名度を上げる。2005年6月にドミノと契約。10月にリリースされたデビュー・シングル“I Bet You Look Good On The Dancefloor”がUKチャート1位を記録。11月には初来日を果たす。2006年1月25日にファースト・アルバム『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』(Domino/HOSTESS)がリリースされる。


