Ciara(2)
繰り返しはイヤだったの
そんな成長が凝縮されたセカンド・アルバム『Ciara : The Evolution』では、彼女が得意とするダンサブルなトラックから、しっとりと大人の女の色気さえ漂わせるスロウまで、とにかくシアラのあらゆる顔を垣間見ることができる。彼女を見い出したジャジー・フェイによるカミリオネアとの共演曲で、「なかなか曲が書けなかった」という“Get Up”(サントラ『Step Up』で先行披露)。そして、「これまではダンサブルなアップの曲ばかりだったから、違ったテンポの楽曲に挑戦することの必要性を感じていたの。テンポだけじゃなくすべてがユニークで、クリエイティヴィティー面でも自分にとって凄く大切な1曲」と話すように、ヴォーカリストとしての新たな面を見せたポロウ・ダ・ドン制作の“Promise”。先行でカットされたこの2曲だけでも彼女の現在のR&B界における存在感をまざまざと感じさせられたのに、他の参加プロデューサーやゲストも凄い。彼女のデビュー曲にして代表曲の“Goodies”を制作したクランクの神様=リル・ジョンや、ブライアン・マイケル・コックス、ダラス・オースティン、Mrコリパークらアトランタ~サウスを代表するプロデューサー陣に加え、ロドニー・ジャーキンス、ネプチューンズ、ウィル・アイ・アム。そして、弱冠19歳のキャルヴォ・ダ・グレイトやブライアン・ケネディという新鋭も大胆に起用している。
「ウィル・アイ・アムやロドニーとはスタジオで踊りまくりながら曲を作ったり、ファレルとは納得がいくまで何時間も話し合ったわ。リル・ジョンとは笑ってばっかり。彼との“That's Right”は完成まで本当に苦労したの。まったく曲が書けないスランプ状態になっちゃって……スタジオに4回も入って、それでも書けなかった。不思議なのがね、“Goodies”の時もまったく同じだったのよ。リル・ジョンに〈あなたの曲は呪われてるんじゃない!?〉って言ったぐらい(笑)」。
一方で、今回はゲストもおもしろい。「前と同じことを繰り返すのはイヤだった。違うことをしたかったの。そういう意味でも50セントはパーフェクトな存在だったわ」との発言どおりにアッと驚くコラボを聴けるのが、何ともメロウで切なくさえなってくる“Can't Leave Them Alone”だが、彼女と50がここまで相性バッチリだなんて誰が想像しただろう! アルバム・タイトルどおりの〈進化〉には驚かされるばかりだ。
さて、昔から〈目標〉だと語っていたP・ディディとのコラボも果たし、アーティストとしてまた1歩、どころか10歩ほどもステップアップした彼女は、次にどんな〈進化〉を見せてくれるのだろう?
「まだ初級を卒業したってところかな? いずれはディディと同じように洋服のブランドもスタートしたいと思ってるし、最近UDA(Universal Dance Agency)っていうダンス・エージェンシーも設立したの。ダンスが大好きな人たちの才能を世間に知ってもらえる場所なのよ。すべて、まだ初めの一歩にすぎないけどね。夢は果てしなくあるから、TVとか映画とか、私が挑戦できるものは何でもやってみたいと思ってる」。
これじゃ、世界中の女の子たちが憧れるのも当然だ。ダンスができて、歌も歌えて、しかも男に媚びずに「セクシーさは内面から生まれるものよ」という発言を見事に体現しながら美しく成長したシアラ。10年後の彼女がどんなに〈大きく〉なっているか、もういまから楽しみで仕方ないと思うのは私だけだろうか?
▼『Ciara : The Evolution』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2007年01月11日 19:00
更新: 2007年01月11日 20:57
ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)
文/Kana Muramatsu