Hi-Fi CAMP
現在オンエア中のポカリスエットのCMソングを手掛けた4人組と言えば、おわかりだろうか? ギミックや目先の新しさには目もくれず、ひたすら自分たちの王道を模索し続ける彼らがファースト・アルバム『1st BEST』を完成させた。持てる力をすべて注ぎ込んだという本作について、SOYA(ヴォーカル/MC)とAIBA(キーボード)の2人が語る。
だんだん見えてきたのは〈歌を大事にしよう〉っていうこと
――わかりやすいポップスでありながら、Hi-Fi CAMPの個性みたいなものもきちんと表現されていて。ファースト・アルバム『1st BEST』、これはかなり手応えがあるんじゃないですか?
AIBA「そうですね。自分たちのカラー、Hi-Fi CAMPらしさをしっかり出したいと思って、そこに重点を絞ったんですけど、もう大満足です。それはタイトルにも出ています(笑)」
SOYA「いまの僕らのすべてを出せたんじゃないかな、と。聴いてもらえれば〈いいな〉って言ってもらえると思います。聴いてもらえるかどうかが問題なんですけど(笑)」
――すごい自信とシビアな認識が入り混じってますねえ(笑)。いまAIBAさんが言った、〈Hi-Fi CAMPらしさ〉って、何だと思いますか?
AIBA「結成して2年くらいになるんですけど、だんだん見えてきたのは〈歌を大事にしよう〉っていうことなんですね。歌詞とメロディーを中心にして、それを邪魔しない音作りを意識するというか。それがいちばん、僕らがやらなくちゃいけないことじゃないかな、と」
――最初から明確なコンセプトがあった?
AIBA「いや、やりながらわかったことのほうが多いです。もともとはヴォーカルのKIMと僕がバンドをやっていて、SOYAとDJのTOSHIROはクラブで活動してたんですよ」
SOYA「まあ、チェケラッチョですよ」
――(笑)。ヒップホップ系?
SOYA「そうっすね(笑)」
――AIBAさんがやってたバンドは?
AIBA「ライヴハウスにも出てたんですけど、シーケンスを使ってたりR&B寄りの曲があったり、普通のバンド・サウンドとはちょっと違ってたんです。で、こっち(SOYA)のほうもゴリゴリのヒップホップというよりは、すごくキャッチーな曲もやってて。そこです、〈いっしょにやれるんじゃないか〉って思ったポイントは」
SOYA「仲間に入れてもらえない同士でね(笑)」
――お互い、それぞれのシーンに違和感があったということですよね。
AIBA「まあ、そうですね。KIMが地元の老舗のクラブでスタッフとして働きはじめて、そこでSOYAとも交流があって。〈おもしろいヤツがいる〉って話になって」
SOYA「登竜門といういか、仙台のブラックなヤツらはとりあえずそこに集まるんです。やっぱり〈俺が俺が〉っていうタイプの人が多いんですけど、僕らは女の子のヴォーカルなんかもいて、やっぱりちょっと浮いてて。ああいうシーンは仲間意識が強いですから」
AIBA「僕らも〈DJとか入れたいな。ラップできるヤツいないかな〉って思ってたから、〈ちょうどいいじゃん、両方いるし〉っていう」
――それで意気投合した、と。ツイン・ヴォーカル、DJ、キーボードっていうスタイルはかなりユニークだと思うんですが、どういう活動からスタートしたんですか?
AIBA「とにかく曲作りですよね。ライヴをやるにも曲が必要だし、そこで自分たちのスタイルを固めていこうと思ったんです。で、それがすごく楽しかったんですよ」
SOYA「うん」
AIBA「やればやるほど可能性が見えてきて。ヴォーカルのキーも違うから、そのぶん幅広い楽曲が作れるんです。狙ってたわけじゃないんだけど、ふたりの声の魅力的な部分も違ってて、曲の構成や歌詞の内容に合わせて声を選ぶこともできる。しかも、ユニゾンにはユニゾンの魅力があって、いろんな発見がありました。ホントに」
――すごい。何だかプロデューサーみたいなコメントですね。
SOYA「そう、そうなんですよ。基本的なアレンジもすべてAIBAがやってるし、ボスですね」
AIBA「(SOYAは)適当に言ってるだけですから(笑)」
SOYA「でも、この人はすごいなって思いましたよ。うちは4人全員が曲を作るし、僕なんか完全に本能で作ってるタイプなんですけど、彼の打ち込みやアレンジによって、ちゃんとHi-Fi CAMPの曲になっていくんです。AIBAっていうインターフェイスがあって、はじめてバンドが成立してる感じですね」
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