インタビュー

Indus & Rocks(3)

ジャム・バンドがどういうものか、あんまりわかってない

――話を聞いていると、ライヴのスタイルとか考え方はかなりジャム・バンド的だけど、Indus & Rocksの場合、ジャム・バンドをやろうとして始めたわけじゃないのがおもしろいと思うんですよ。いわゆるジャム・バンドからハミ出す部分も多いと思うし。

黒澤「そうなんですかね? 自分たち自身、ジャム・バンドがどういうものか、あんまりわかってないかもしれないんですけど」

――でも、一方では〈ジャム・バンド〉と呼ばれることもあると思うんですけど、そのことについてはどう思います?

黒澤「うーん、正直、呼び名は何でもいいかもしれませんね。単に〈ロック・バンド〉と言うだけで伝わるのであれば、それでもいいと思うし。確かにジャム・バンド的なバンドは好きですけどね」

――例えば?

黒澤「グレイトフル・デッドは好きですね。それと、あんまり聴いたことはないんですけど、フィッシュも結構好きですね」

――じゃあ、日本のバンドで共感できるのは?

黒澤「最近は、らぞくですね。この前、横浜でいっしょにライヴをやった時も5時間ぐらいやってたんですよ。意外性もあって、びっくりしましたね」

――なるほどね。では、今回のアルバム『Hidaripokenicca』に話を移したいんですけど、曲自体は結構古いものが多いんですよね。

黒澤「そうですね。だいたい2007年ぐらいに書いたものが多くて、ライヴでひたすらやり続けてきたものばかりですね」

太田「“水”なんて3年ぐらい前からやってますからね」

黒澤「だからアレンジも随分変わってきてますし。あと、歌とインストのバランスは取りたいとは思ってましたね。インストだけのバンドじゃないってことも示したかったし、前に自分たちで作ったアルバム(2009年2月に自主制作したミニ・アルバム『Hidaripokenicca』)の曲も違うテイストで録り直すことができたと思います」

――今回がデビュー作ということになるわけですが、それに対して気負いはあったんですか。

黒澤「どうだった?」

太田「いや……そんなには(笑)」

黒澤「昔はレーベルを運営するうえでの情報も足りてなかったのに、〈とにかく自分たちでやろう!〉と思って自主音源を出してたんです。でも、本当にやりたいことを集中してやる必要性を感じてきて、そのなかで辿り着いたのが、〈人の心を動かすようなものを作るのが、やっぱりいちばんなんだ〉っていうことだったんです。人の心を動かすのは簡単なことじゃないし、いい音を作り出すために多くの時間を費やすことも必要だろうと。最初は自分たちの作品が他の人によって動かされていくことに関して不安もあったんですけど、自分たちだけではどうすることもできないことがあると思ったんですね。そういう意味でも、今回はいいタイミングだったと思いますね」

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年10月07日 18:00

文/大石 始