ロング・レヴュー:ほたる日和 『季節はずっと/ノスタルジック』 フタバ
しなやかなメロディーに乗せて解き放たれる、草野マサムネ(スピッツ)級に透明度の高いハイトーン・ヴォイス――自動車のCMソングとして用意された15秒のサビにインスピレーションを得て全体像を膨らませていったという“季節はずっと”は、柔らかく絡み合うツイン・ギターと前述のキャッチーな歌メロが軽快に疾走する、まさにドライヴ・ソングにぴったりなギター・ロック・チューン。サビを制作した作家とのコラボ作ではあるが、聴き手を温かく包み込むノスタルジックな作風は、彼らの完全オリジナルと言いたくなるほどにほたる日和らしい仕上がりだ。
一方、カップリングの“スケッチブック”は、ソングライターの早川厚史が〈音楽をやることに対する覚悟〉を歌詞に込めたというスロウ・バラード。叙情的な詞世界のなかに生々しく投影された本音と、淡い余韻を残すギター・サウンドが切なく胸に沁みる。
今回のシングルのみで彼らの全貌を推し量ることは難しいが、このバンドの最大の武器であろう早川の声質を活かし切った2曲は、ビギナーを引き込む入り口として申し分ない取り合わせだろう。
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