インタビュー

ギターウルフ(3)

最終的には気合いと勇気

――今回もそういう〈抵抗〉がいろいろあったんですか?

「今回のアルバムでいくと、“ビルディング Z”“エジプトロック”“デビルクチビル”、この3曲がものすごく自分には抵抗があったんだけど、抵抗があるものというのは毒を持っているものなので、結局、いつも最後には曲のほうに気持ちが傾きますね。やっぱ、オレしか書かないような曲ってのをいつもめざしてるんで。それは何かというと、自分も恥ずかしがるような自分の毒であったりするから」

――なるほど。例えば“ビルディング Z”だったら、どういうところに抵抗を感じたんですか?

「〈ビルディングが空を飛ぶ〉なんて歌うのはなぜか?って最初は思うさ、一瞬(笑)。〈この設定ってなんか変だよな〉と思いながらも、変だということは、それが自分の毒だということもよくわかっているから歌うんだけどね。“ラーメン深夜3時”っていう曲を作った時も、最初は〈ロックでラーメンって、どうなんだろう?〉みたいな(笑)。“新幹線ハイテンション”とかもそうだったけど。まあ、曲っていうのは最終的には気合いと勇気なんだと思う」

――僕はてっきり、そういう強烈なフレーズが出てきた時点で、セイジさん的に〈勝った!〉みたいな感じかと思ってたんですが。

「それも少しはあるけど、でも〈ほんとにカッコイイのか?〉って思う瞬間はいっぱいあるよ」

――その迷いを克服していくわけですね。

「それを自分のなかで〈カッコイイもの〉にしていくんだよ。歌詞を書きながら、そいつのカッコイイところを見つけていく」

――そういった過程で、自分がカッコイイと思っているものに対する発見があったりもするんでしょうか?

「そうだね、確かに。曲を作っていくと新しい自分が見えてくるんで。無から曲を生み出すってことはかなり大変なこともあるけど、でも出来てしまうとやっぱ嬉しいね。“エジプトロック”とかは〈ああ、こういう歌詞が書けた〉とか〈こういうところにカッコよさを感じることができるんだ〉とか、そういうことが嬉しくて。だから、“デビルクチビル”で女の歌詞を歌えたことも嬉しいです」

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掲載: 2009年12月24日 19:00

文/村尾 泰郎