インタビュー

EMI MARIAの宝石――(2)

 

L-VOKAL『FREE』 ユニバーサル(2008)

彼女のキャッチーなフックで始まる“SKY 55”を収録。曲名通りのフライ・ハイなムードを演出するオリエンタルなシンセ・トラックはBACHLOGICのプロデュースで、絶品のコーラスも相まって主役のポジティヴなラップに翼を与えるような飛翔感が素晴らしい。

般若『ドクタートーキョー』 昭和レコード(2008)

これまたBACHLOGICのプロデュース曲で、ロッキッシュな音像とドラムンベースっぽい疾走感がスリリングな緊張感を生み出した名曲“夢の痕”にバック・コーラスで参加。熱を帯びて駆け抜ける般若のマイクと風にちぎれるような歌声が不思議な情感を残す。

EMI MARIA『A Ballad Of My Own』 KSR(2008)

NAOtheLAIZAやI-DeA、初顔合わせとなるAILIらの好サポートを得る形で作り上げた初のフル・アルバム。静かな熱気が滲み出すスロウ“雨”、哀しみを惨めなバラードに昇華した表題曲など、無防備なラヴソングの数々が本当に最高すぎる。こういう歌を〈等身大〉と呼ぶべき。

DJ KOMORI『What's R&B?』 ビクター(2008)

人気のR&B DJが初の邦楽ミックスCDをリリースするにあたって作ったオリジナル曲“FLASH”に、Foxxi misQのCHiEと2人で登場。KOMORIとUTAが仕立てたフロア直行のトランシーなビートに乗って、ジャネットを連想させる立ち上がりのいい歌が輝く。

URALi『Departure』 KSR(2009)

NORISIAM-Xとして名を馳せた西のMCによる隠れた佳作。EMI MARIAはピアノ・ループが美しい真摯なラヴソング“My Life is One Way”を共作し、母に捧げられた“appreciate...”でもソウルフルなコーラスを聴かせる。いずれも自作に通じる味わいで素晴らしい!

JAY'ED『MUSICATION』 トイズファクトリー(2009)

関西時代から交流が深く、『CONTRAST』にも駆けつけた彼だが、両者の共演はここでいち早く実現していた。オーセンティックなデュエット形式の“Luv Is...”はジェントルな男声とスウィートな女声がゆっくり溶け合う絶妙の味わいに。プロデュースはUTA。

SEEDA“WISDOM” CONCRETE GREEN(2009)

オリコン8位を記録して話題になったSEEDAの復活シングル。白い息を吐きながら剥き身の現実を囁き合うILL-BOSSTINOとのコラボが聴きどころではあるが、何とも言えないヴァイブを醸し出すEMI MARIAの歌声も夜明けを暗示するかのように温かく響く。

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掲載: 2010年03月24日 17:20

更新: 2010年03月24日 17:21

ソース: bounce 318号 (2010年2月25日発行)

ディスクガイド/出嶌孝次