インタビュー

駆け足で振り返るアジカンのこれまで

 

初の正式音源は2002年のミニ・アルバム『崩壊アンプリファー』。文学性の高い歌詞とウィーザー直系の豪快なパワー・ポップ・サウンドで話題を呼び、翌2003年のメジャー移籍時に現所属レーベルからの再リリースも行われた。また、いまやアジカン作品のトレードマークとなった中村佑介によるアートワークは、この時点から現在に至るまで継続している。そして〈フジロック〉〈サマソニ〉といった主要夏フェスへの出演や自主企画〈NANO-MUGEN FES.〉の立ち上げ(初回の会場は新宿LOFTだった)を経て、同年11月にはファースト・フル・アルバム『君繁ファイブエム』を発表。“E”ではオアシスのあの曲からの引用も? 90年代のUK、US、さらには日本のオルタナティヴ・ロックを咀嚼した巨大なスケール感のギター・ロックはここでほぼ確立し、その勢いのままに2004年の2作目『ソルファ』ではオリコン初登場1位を獲得。よりソリッドに、メロディアスに進化した〈アジカン印〉のロックンロールを全国に知らしめた。

2005年には〈NANO-MUGEN FES.〉の舞台を横浜アリーナへ移し、2006年にはリズム・パターンに広がりを見せた3作目『ファンクラブ』を投下。ここでは“月光”のイントロにドビュッシー〈月の光〉が挿入されていたりと、時折炸裂する後藤のオマージュ魂が興味深い。また同年には、結成10周年記念として企画された編集盤『フィードバックファイル』も登場。シングルのカップリング+ライヴ・テイク+新曲2曲から成るこの作品では、喜多が作曲/メイン・ヴォーカルを務める“嘘とワンダーランド”を聴くことができる。

それから1年5か月を経て、2008年にはコンセプチュアルな3作品の連続リリースを展開。〈世界〉をテーマに開放感と躍動感に満ちたダイナミックなバンド・サウンドを聴かせた4作目『ワールド ワールド ワールド』を皮切りに、それとほぼ同時期に制作された2枚目のミニ・アルバム『未だ見ぬ明日に』ではポジティヴに駆け抜ける楽曲で自身が見つめる〈世界〉から派生したアナザー・ストーリーを、5作目『サーフ ブンガク カマクラ』では全曲に江ノ島電鉄の駅名を入れ込むという遊び心を提示している。

 

▼ASIAN KUNG-FU GENERATIONの作品を紹介。

左から、2002年のミニ・アルバム『崩壊アンプリファー』(UNDER FLOWER/キューン)、2003年作『君繋ファイブエム』、2004年作『ソルファ』、2006年作『ファンクラブ』、2006年の編集盤『フィードバックファイル』、2008年作『ワールド ワールド ワールド』、2008年のミニ・アルバム『未だ見ぬ明日に』、2008年作『サーフ ブンガク カマクラ』(すべてキューン)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年06月25日 19:48

更新: 2010年06月25日 19:49

ソース: bounce 322号 (2010年6月25日発行)

文/土田真弓