ペンデュラムも新作をドロップしたぜ!!!
東西の横綱、風神と雷神、東大寺南大門の金剛力士像……何でもいいが、とにかくケミスツを語るうえで常に並び称されるのが、彼らと同じくバンド形態でドラムンベースを演奏するこのペンデュラムであることは間違いないだろう。オーストラリア出身で現在はロンドンを拠点とするペンデュラムは、ドラムンベース・シーン内では異例のヒットとなった2005年の『Hold Your Colour』を皮切りに注目を増し、メジャー契約を果たしての2作目『In Silico』(2008年)はニューレイヴ熱にも同期して〈プロディジー以来の大物ダンス・アクト〉と評されるほどの大ヒットを記録。編成のほうもプロデューサー+DJ+ベーシストという当初の3人組から徐々に増員し、現在はMCとギタリスト、ドラマーも擁する6人編成のバンドに進化している。
そんなビルドアップによって獲得したライヴ・バンドとしての自信を昨年のライヴ・アルバム『Live At Brixton Academy』で表明し、矢継ぎ早にリリースした今回のサード・アルバム『Immersion』ではついに全英チャートを制覇! 従来型の直情的なロッキン・トラックはもちろん、緩急自在な歌モノとしての展開を重視したものまでドラムンベースに限っても大きく振り幅を広げているのは予想の範囲内だとしても、そのうえで非ドラムンなエレクトロ・ハウス“The Island”やグライム~ダブステップを意識したようなヘヴィーな歌モノ“Set Me On Fire”も披露するなど、ただの熱血アッパー集団ではなく、ひとつのダンス・バンドとしても枠組を意欲的に逸脱しようという心意気が窺えるのは非常に頼もしい。日本盤にはデッドマウスらのリミックスも盛り込まれている。いずれにせよ、シンフォニックでアグレッシヴな彼らのサウンド・アドヴェンチャーはケミスツにとっても好敵手であり続けるはずだ。
▼ペンデュラムの作品を紹介。
左から、2005年作『Hold Your Color』(Breakbeat Kaos)、2008年作『In Silico』、2009年のライヴ盤『Live At Brixton Academy』(共にEar Storm/Warner UK)
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掲載: 2010年07月14日 17:02
更新: 2010年07月14日 17:02
ソース: bounce 322号 (2010年6月25日発行)
文/轟ひろみ