インタビュー

白くて長いものに巻かれ続ける彼らの歩みをおさらい!

 

アークティック・モンキーズの2006年作『Whatever People Say I Am That's What I'm Not』に対する日本からの回答——The Mirrazの自主制作盤『be buried alive』が会場限定でリリースされたのは同年末。アークティック研究の成果が投影されたサウンドと、ユーモアとニヒリズムが交錯する独特の言語感覚とを爆発させた同作は、今年春に晴れて新装、全国流通を開始している。続く翌年にはVeni Vidi VisciousとのスプリットEP『NEW ROCK E.P.』を発表。THE BAWDIESをはじめとした〈ジャパニーズ・ロックンロール・リヴァイヴァル〉とでも言うべき新世代バンドたちの動向とも共鳴し、各方面で話題に。

そして2008年の初作『OUI! OUI! OUI!』では、攻撃的なギター・リフとダンサブルなリズムとのアンサンブルを飛躍的に強化。シンプルかつビート・オリエンテッドなロックンロールでリスナー層を拡大しつつ、空間系のギターを投入したりと新機軸も提示してみせた。間髪入れずに2009年、彼らはさらなる進化を遂げた2作目『NECESSARY EVIL』を投下。自身を〈必要悪〉と称し、ビースティ・ボーイズの挑戦的な引用により〈アークティックのパクリ〉といった一部の世評をシニカルに一蹴。原点からの手法を磨き上げることで、エッジーでありながらポップに開けたエンターテイメント性を獲得した。また最近ではアニメ「リロ&スティッチ」のカヴァー集『Rock Stitch』へ参加。アッパー&ファンキーな“A Little Less Conversation”には、The Mirraz印がくっきりと刻印されている。 

 

▼The Mirrazの関連作品を紹介。

左から、2006年作『be buried alive』、Veni Vidi Viciousとの2007年のスプリットEP『NEW ROCK E.P.』、2008年作『OUI! OUI! OUI!』、2009年作『NECESSARY EVIL』(すべてmini muff)、The Mirrazが参加したコンピ『ROCK STITCH』(WALT DISNEY)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年09月08日 17:59

ソース: bounce 324号 (2010年8月25日発行)

文/土田真弓