The Mirrazのサウンドから見え隠れしている豪華な面々――(1)
ARCTIC MONKEYS 『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』 Domino(2006)
UKでデビュー作における最速売り上げ記録を更新した本作をいかに超えるか?——それこそが、The Mirrazにとっての唯一無二の命題。単音リフやパワー・コードの多用、ラップ調のヴォーカル・スタイルや日常を描いたリリックなど、The Mirrazのベーシックがすべてこの作品に詰まっていると言っても過言ではない。
KLAXONS 『Myths Of The Near Future』 Polydor(2007)
ニューレイヴと共振することでトレンドに敏感であることをアピールした『OUI! OUI! OUI!』には、当然ニューレイヴの代名詞である本作からの影響が大きい。アークティック・モンキーズとも共振するややダークな雰囲気は、この時期のUKに通底するムードだったと言えよう。
CAN 『Monster Movie』 United Artists/Spoon(1969)
『OUI! OUI! OUI!』に収録されたThe Mirrazの代表曲のひとつ、“CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい”のモンスターは、このクラウト・ロック名盤のジャケに描かれている。モンスターというよりはモビルスーツといった印象だが、これが現れて世界を壊しはじめたらさぞ恐ろしいことだろう。
BEASTIE BOYS 『To The 5 Boroughs』 Capitol(2004)
『NECESSARY EVIL』に収録された“check it out! check it out! check it out! check it out!”は、本作の“Ch-Check It Out”を引用。タイトルに加え、フレーズもほぼそのまま拝借したうえで、〈おっとこいつはビースティ・ボーイズ?〉ときたもんだ。畠山がヒップホップを意識した曲作りのきっかけはこの曲か?
THE BEATLES 『Revolver』 Apple/EMI(1966)
“ハッピーアイスクリーム”のドラム・パターンは、ビートルズの“Tomorrow Never Knows”を参考にしているとか。いち早くループ的な手法が用いられ、その後に登場するヒップホップにも通じるこの曲のドラムは、The Mirrazに限らずさまざまなアーティストが取り上げている。
THE STREETS 『Everything Is Borrowed』 679(2008)
“サーチアンドデスとロイとグローリアとアレとソレとコレと”の原曲とも言うべき“Heaven For The Weather”を収録。そもそもストリーツことマイク・スキナーのラップ・スタイルがアークティック・モンキーズに影響を与えているので、畠山にとっては祖父とも言える存在なのかもしれない。