インタビュー

LONG REVIEW――YO-KING 『楽しい人は世界を救う』

 

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7月にリリースされた5曲入りミニ・アルバム『スペース ~拝啓、ジェリー・ガルシア~』から間を空けず、3年半ぶりのフル・アルバムが届けられた。元ジューシー・フルーツの沖山優司、ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉、NONA REEVES の小松シゲルという芸達者なミュージシャンと共に男クサいというか人間クサいフォーク・ロックを奏でている今回のYO-KING。ニューオーリンズ・スタイルのコロコロ転がるピアノをフィーチャーした“青空揺れる”や、ふとボブ・ディランの“Positively 4th Street”を思い起こさせる“いつも笑顔で”、実に彼らしい字余り系フォーク“世界の元”ほか、ここには気取りがなくて明快でフツーに美しい歌がたくさん盛られている。

ハリネズミのように気持ちや言葉を尖らせ、背中からゆらゆら湯気を昇らせていた昔の彼を思い出して微笑んだりしつつ、目の前にある毅然としていながらイキのいい青々とした歌に聴き惚れた。これらの〈ありふれた愛のうた〉は、共感を得ることばかりに汗を流している年若なソングライターたちを挑発しているようでもあるが、いや、やっぱあまり気にすることではないのかもしれない。クール&ファンキーなトーキング・ブルース“BODY”、リズムボックスを使ったメロウなバラード“泣かないけどね”などは挿し色としていい機能を果たしており、アルバム全体の印象はカラフル。ほんと、楽しい音楽は絶対に世界を救うと思う。

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掲載: 2010年10月13日 18:01

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