藍坊主 『あさやけのうた/すべては僕の中に、すべては心の中に』
[ interview ]
トレンドに流されることもなく、ギミックに頼ることもなく、みずからの表現を少しずつ着実に追求してきた藍坊主は、バンドの結成10周年にして、こんなにも深く、強靭な音楽を身に付けていた。鋭さとダイナミズムを共存させたロック・チューン“あさやけのうた”、そして、独特のサイケデリアを感じさせるミディアム・ナンバー“すべては僕の中に、すべては心の中に”による両A面シングルで彼らは、その奥深い音楽性を改めて示している。シンプルな言葉で物事の本質を射抜く歌詞、独創性に満ちたバンド・アンサンブルをしっかりと堪能してほしい。
いままでの藍坊主を突き抜けた曲
――人間の本質を捉えようとするメッセージ性だったり、独創性に溢れたサウンドだったり。まさに藍坊主にしか出来ないシングルだと思います。とにかく濃密な2曲だな、と。
藤森真一(ベース)「うん、そうですね」
――まず、アルバム『ミズカネ』以降、皆さんがどんな方向性をイメージしてたのかを訊いてみたいのですが。
田中ユウイチ(ギター)「それ以前からというか、『ミズカネ』(の制作期間)の真ん中あたりから、リーダー(藤森)が曲作りモードだったんですよね。いまもそうなんですけど、スイッチがバシッと入った感じで、毎日曲作りをやっていて。方向性を話し合うより前に、どんどん曲が出来てきて、ストックが増えていくっていう」
――hozzyさんも曲作りモードなんですか?
hozzy(ヴォーカル)「いや、俺はそうでもないですね。とにかくモーリーがすごいペースなんで」
藤森「やろうとしてることもハッキリしてるんですけど、とりあえず動ける状態を作っていかないと、これからキツくなると思うんですよね。いままでは2年に1枚くらいのペースでしたけど、なるべく早いペースで出していきたいし」
――スケジュール的な理由?
藤森「いや、いろんな理由があるんですけどね。『ミズカネ』は13曲トータルですごくいいアルバムだと思いますけど、1曲、2曲でも〈ものすごくいい〉と思えるものを作りたいっていう気持ちもあって。今回のシングルもその流れなんですけど」
――1曲でも〈これが藍坊主です〉と言えるような?
藤森「いままでの藍坊主を象徴するような曲というより、それを突き抜けた曲ですね。もちろん、〈藍坊主だからこれが作れた〉っていうことなんですけどね――そういうのって、まぐれじゃ出来ないと思うんです。もしたまたま出来たとしても、後が続かないだろうし。結成して10年になるんですけど、いまの時点で出来上がってる土台をさらに突詰めていかなくちゃいけないのかなって。まあ、すごいマジメな話ですけど(笑)」
- 次の記事: INTERVIEW(2)――歌になる瞬間