INTERVIEW(2)――〈3ピースの美学〉とかはない
〈3ピースの美学〉とかはない
――最近だと10月の〈STRIKES TOKYO〉でライヴを観せてもらったんですけど、いまってサポート・ドラマーがいることもあって(藤田)勇さんがドラムをあまり叩かずに、ギターだったり、キーボードだったり、ベースだったり、パートをコロコロ変えてますよね。徐々にああなっていったんですか?
「うん、ライヴの場での再現性アップというか、そういう目的もあったんですけど、蓋を開けてみたら構築していくどころかどんどんぶち壊してて、クォリティー・アップどころかダウンっていう(笑)。〈ああ、やっぱモーサムってこういうバンドなんやなあ〉って再確認しましたね(笑)。そういう状態がアリなバンドっていう」
――勇さんとしては、ソング・ライティングのチャレンジはもちろんありつつ、プレイヤーとしてもチャレンジしたいという意欲があったんでしょうか?
「そんなに話してないですけど、なんかぶち壊したいものがあったんでしょうね。それがドラムを叩くだけではできなかったんじゃないですかね。壊したいものっていうのは、3ピース・ロック・バンドの美学みたいなもんかもしれないし、そういう〈モーサムに対するイメージ〉なのかもしれんし」
――百々さんご自身はどうですか? 3ピースの美学とかって。
「俺はどうでもいいですよ。だって俺、最初4人でやりたかったもん(笑)。3ピースがかっこいいなんて思ったことは一度もなくて、4人でも5人でも、かっこよければかっこいいぐらいに思ってたんで」
――では〈実験期間〉以降に見えてきたアルバムの大枠っていうのはどんなものだったんですか?
「いまのモーサムの状態を何ら隠すことなく、パーフェクトじゃなかったらパーフェクトじゃなくていいので、そのまま曝け出したいと思って。だから〈STRIKES TOKYO〉のコメントで、〈解散しかけた〉みたいなことを書いたら、必要以上にインタヴューでそればっか訊かれて(笑)」
――モーサムは常に解散が隣り合わせにあるバンドっていうイメージがありますからね。特に今回はリリースまでの期間が長かったから、そこを突っ込まれてしまうのもしょうがない気はしちゃいます(笑)。
「なんかねえ、あんま美談にするようなこともないし、淡々としてますけどね。13年ぐらいやってても、相変わらず他の2人が何考えてるかさっぱりわからないこと多いし(笑)。でも逆に同じ方向を向いてる3人だったらここまで続いてこなかったし、多分途中で飽きてたと思うんですよね。今回もそうですけど、サポート入れて4人でやりたいって言い出したのは勇だったんで、そういう意見を、全然俺と違うチャンネルで言い出す人間がいなかったら、続いてないやろうなって思います」