インタビュー

LONG REVIEW――MO'SOME TONEBENDER 『STRUGGLE』

 

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〈あがく、もがく、苦闘〉を意味する〈struggle〉は、MO'SOME TONEBENDERを象徴するような単語だ。そもそも彼らは三者三様の音楽的志向を持つ、個性的でタフな男たちのバンド。各々のクリエイティヴィティーのぶつかり合いが生む緊張感や、バンドで行う試行錯誤と実験が、彼らの独創性のエッセンスであった。ゆえに、彼らの歩みそのものが悪戦苦闘の積み重ねだったはず。

そして新作『STRUGGLE』は、これまでに彼らが鳴らしてきた幅広いサウンドが一枚に凝縮されたような作品だ。ブルータルな轟音と強靭なビートでねじ伏せる“Hammmer”“youth”で口火を切り、ファニーなサイケ・ナンバー“けだるいDays”やソニック・ユース“Purr”のノイジーなカヴァーがある一方で、トライバルなドラムを多重録音したブレイクビーツ“Drum Song”やサウンド・コラージュを施した“アイデンティティ”、ピアノのリフを活かしたインスト“七月二十日”もある。そして、フリーキーな最終曲“Kingdom Come”にて〈終末と新しい始まり〉を謳い、本作は幕を下ろす。この雑多でイビツで、闇雲なほど力強く、創造性に富んだ音楽は、やはり彼らにしか作り得ないものだろう。

ちなみに、〈struggle〉には〈大きな努力を必要とする目標〉という意味もある。常に高みをめざし、それを踏破してきたモーサム。これからも彼らのサウンドはますますおもしろくなるに違いない。

 

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掲載: 2010年12月08日 18:01

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