INTERVIEW(3)――原点なんかに帰りたくない
原点なんかに帰りたくない
――〈この曲が出来たことによって先が見えた〉みたいな曲ってあったりしますか?
「俺は“Hammmmer”ですね。ライオット感が、アタリ・ティーンエイジ・ライオット感があったので(笑)」
――“Hammmmer”みたいなディープなビートの曲って、これまでだと勇さんが作ってきそうなイメージがあったんですけど、こういう曲を百々さんが作ってくるのは新鮮でした。
「去年作ってた曲とかもっと4つ打ちの軽いやつとかあったし、別に好きか嫌いかっつったらそういうのは好きでもないんですけど、でも、モーサムだからでしょうね、出したくなるのは」
――〈モーサムだから〉っていうのはどういうことですか?
「根っこにあるものは滲み出てしまうので、ギター弾いたらルー・リードが顔を出したり、ストゥージズになっちゃうとか、サイケなフレーズが出てしまうとか、そういうのは自然と出るので、モーサムでは自分らがやってなかったことをやりたいっていうのがあるんですよ。同じ球投げ続けるのもおもしろくないっていうか」
――ホント、作品ごとに変わり続けるバンドですからね。
「ねえ、わかりにくいよねえ(笑)」
――(笑)そこが魅力なんですけどね。
「そういうバンドなんだっていうのをわかっていただいて、それを楽しんでもらわないことにはね」
――確かに。今作に関して言うと、百々さんが作った“Hammmmer”みたいな曲があれば、4人編成での実験が活かされた勇さんの“Drum Song”があったりとか、曲調が幅広いのはもはやモーサムのアルバムではあたりまえだと思うんですけど、その一方で、ある種、原点回帰的な側面のある作品だとも思ったんですね。音像が全体的に歪んでて、“youth”だったり“Junk”だったり、オルタナとかガレージ・パンクのテイストが目立ってて。
「いや、原点なんかに帰りたくないんですよ(笑)。そう思われるのは見えてて、そう思われたくないからもがいてたのが去年だったと思うんですよね。激しい曲やると(曲は)出来るんやけど、〈初期衝動とかまた言われるなあ〉とか、それは嫌やと思って。取り戻す感はホントないんですよ。取り戻すっていうより、前にあったものをぶち壊して、もう一回作り直すっていう」
――そのための〈実験期間〉だったわけですもんね。
「サポート・ドラム入れて決定的だったのが、バンドのビート感がガラッと変わっちゃうんですよ。バンドにとっては土台っていうか、要なんで、それさえ一旦放棄したわけですから。それはね、長くやってきたバンドがなかなかできることじゃないと思います。で、俺はそれがいちばんおもしろいと思った(笑)。俺が勇といっしょにやりたいって誘ったのは、勇のビートがめちゃめちゃかっこいいっていうのがいちばんの理由だったんで、それを壊せた自分らすげえ、って自分で思って。それで余計なこと考えなくなったんですよ。もうこの状態を全部曝け出せばいいやって。アクセルべた踏みでいろんなとこガンガンあたりながら突っ走ってるような感じ。『ブルース・ブラザーズ』のカー・チェイス・シーンぐらいの(笑)」