INTERVIEW(2)――身体で音楽をやっている
身体で音楽をやってる
――“君だけ”とか、けっこう重厚なピアノ・ロック・バラードに仕上がってますけど、最初はどんな感じだったんですか。
光村「最初からこういうバロックな感じはめざそうとしていて、僕のデモにもピアノは入っていて。ただ〈ミチナキミチ〉では4人しかいないから、ギターでやってたんですけど。それから、いつもサポートで鍵盤を弾いてもらってる野間(康介)さんを呼んで、〈ちょっと弾いてくれ〉と。ライヴみたいに、ちょっとスタジオで合わせた感じで録ろうよって、それでパッと録って。すごく構築してるように見せかけて、実はライヴのステージ上で起こってるようなことをレコーディングしただけなんですよ」
――そのへん、ギタリスト的にはどうですか。“君だけ”“SURVIVE”“容疑者”とか、去年の〈ミチナキミチ〉ツアーでやってた時と、どんなふうに変わってきたのか。
古村「えーっと、“SURVIVE”はホントにそのままです。イメージ通りで。“容疑者”も、わりとイメージができた状態で、ライヴをしてたような気がします」
光村「ほとんど変わってないね」
古村「“君だけ”は、録ったピアノの音がすごく良くて、そこに引き寄せられてよりエモーショナルな音になったというか。ギターは、そういうところがありますね」
光村「“君だけ”はギター中心のアレンジにする案もあって、いろいろ試してたんですけど。あんまりしっくりこなくて、もう録らなきゃいけないという時期に、細かいアレンジを全部忘れて〈1回だけ、初めてやる曲のつもりでやってみない?〉って。ピアノも入れて」
古村「その感じが良かった」
光村「じゃあこの感じで録りましょうって。ギターで相当細かく構築していたのが、馬鹿みたいだったよね(笑)。それまで、すごい頭使ってたのに。結局採用されたのは、〈せーの〉でパッとやったやつで」
――そのエピソード、象徴的ですね。このアルバムの音作りを語るには。
古村「そうですね」
光村「本当に身体で音楽やってるんだなっていう感じが、いちばん出た曲かもしれない。感動しましたもん、ちょっと。レコーディングしてる最中に」
――ギターで言えば、“容疑者”もすごい好きです。あの、弾きすぎない感じが。
光村「いいですよね。シンプルで」
――“友情讃歌”にも感じるけど、〈間を取る〉というか、弾きすぎないカッコ良さとか、そういうのを今回いくつかの曲で強く感じていて。
光村「確かに。壊れたギターとかで録ってたもんな」
――え(笑)?
光村「“容疑者”で使ったのは、ネックの折れたレスポールなんですよ。たまたま持ってて」
古村「ハム(・バッキング)が使いたいんだけど、ネック折れたやつしかないって」
光村「〈ま、いっか〉とか言って(笑)」
古村「そういう意味では楽しみながら、その時にいいと思ったことをどんどんやっていったものが多いですね。今回は」