INTERVIEW(2)――いろんな人の心に届くような、壮大な音
いろんな人の心に届くような、壮大な音
――いや、自然にそっちにいっちゃいましょう(笑)。ニュー・シングル“日々のぬくもりだけで”の話に。
豊田「歌詞は、最近ですね。仕上がったのは」
――前のシングル“Music is my Soul”が原点回帰というか、ルーツ・レゲエ+ロックという曲調だったので、今度はまたアナザー・サイドが出たなという印象がありますね。今回、サウンド的なテーマはありました?
山森「そうですね、広くいろんな人の心に届くような、難しくない、いい曲を2枚目に出そうというのがテーマにあったので。そのうえで、この曲には壮大な音が合うだろうなと思っていたので、それをテーマに練りましたね」
――何かキーワードはあったんですか。UKロックの王道にありそうなリズムですけど。
山森「キーワードは、〈ドンドン・パン〉です(笑)」
――(笑)これ、正式には何て言うんですかね。〈ドンドン・パン〉って言っちゃいますけど。
山森「〈ストンプ&クラップ〉というオシャレな言い方をする人もいましたけど、僕らは〈ドンドン・パン〉で。この曲のメロディーはスケールの大きなアレンジも耐えられるから、そういうふうにしたいね、というところから始まったんですけど、どのバンドも一生に1回しか使えないアイデアを、ここで使おう!という(笑)。それは、わりと早い段階で決まってました」
――そもそも2008年に作って寝かせていた曲を、いまやろうと思ったのはなぜだったんですか。
オータケ「バンドっぽいサウンドをめざしていたら、自然にそういうふうになって。“言葉をきいて”(2010年6月リリースのシングル)みたいな曲は、歌詞とメロディーがいっしょに流れて、それに沿うようなアレンジで、壮大の意味がちょっと違ったというか。ストリングスを入れたりして。でも今回はバンドで、エフェクターをかけるみたいな感じですね。〈ドンドン・パン〉の意味が、ドラムにエフェクターをかけて歪ませたみたいな、そういうことの代わりというか。単純なたとえで言うと、昔の歌謡曲をカヴァーする人がパンク・ヴァージョンにしたりとか、そういうことをしてバンドっぽくするとか、そういうイメージで」
――基本はUKロックぽい感じですけど、いろいろ入ってますよね。
山森「おもしろいブレンドをしたなと思いますね。最後のほうのフェイクっぽいところは、アメリカン・ロックな感じだし。ラウドだけどそんなにマッチョじゃない感じに仕上がっていて、そのへんはUKぽいかなと思うし。おもしろいです」
――こういうノリが自然に出せるようになってきたのが、いまのバンドの状態だと。
オータケ「そうですね。5年経ったバンドの成熟した形というか、そういう時にシンプルなものをやる意味はあると思うので。あとイントロで管楽器を入れたところに、けっこう個性が出たと思いますね。最初はギターだったんですけど、管楽器を入れたところで、ルーツ・ミュージックが好きだというところをうまく表現できたと思います。もともとのイメージとして、キラキラな部分というか、焦げ臭い部分というか、そういう雰囲気があるので、そこと融合した時のバランスというか。管楽器でその感じを出しすぎると、演歌みたいになっちゃうし。〈ドンドン・パン〉の感じが変わってくるんで」
豊田「盆踊りになる(笑)」
オータケ「手揉みが入ってくるんで。ふと見上げると夕焼け空にカラスが、みたいな(笑)。たぶんこのニュアンスは、2008年では絶対にできてないです」
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