INTERVIEW(3)――妄想で曲を作る
妄想で曲を作る
――(笑)そして3曲目はインストですね。カンブリアン……。
Tomoya「〈カンブリアン・ピリオド〉ですね」
――“Cambrian.”はそう読むんですね。この〈ピリオド〉は重要?
Tomoya「そうですね。ピリオドが付いて、〈カンブリア紀〉っていう意味になるので(カンブリアンには〈ウェールズの〉という意味もある)」
――ノンビートの、アンビエントなシューゲイザー・サウンドで……そこから4曲目の“Stamp your feet”に雪崩れ込んでいくという構成になっていると思うんですけど、この曲のタイトルはなぜ“Cambrian.”なんですか?
Tomoya「先に“Stamp your feet”があって、それに向けてのインタールードとして考えた曲なんですけど、“Stamp your feet”の壮大な、一気に〈ドーン!〉と演奏が始まるっていう雰囲気にいちばん合うシチュエーションは何かな?って想像したときに、地球に生命が生まれた瞬間とか、そういう壮大なテーマにしたらおもしろそうだな、と。で、〈カンブリア紀〉っていうのは地球に生命が生まれた時代なので、壮大でいいなと(笑)」
――いまさらですけど、どの曲にも具体的なイメージを持ってらっしゃるんですね。
Tomoya「はい、かなり……(笑)」
大自然に広がる音
――(笑)では、その“Stamp your feet”はどういうイメージなんですか?
Tomoya「これは〈フジロック〉の〈WHITE STAGE〉をイメージしてて(笑)。〈GREEN STAGE〉のほうから歩いてきて、〈ところ天国〉(飲食エリア)のところから橋を渡って、〈WHITE STAGE〉が見えて。音が止んでいる状態で、〈次はどんなバンドだろうな?〉って思ったら、〈バーン!〉って音が鳴ってくるイメージ。で、そのあとハイトーンのヴォーカルが〈パッカーン!〉と突き抜けて、シューゲイズ・ギターが会場を埋め尽くす、っていう……そんな妄想をそのまんま曲にしたっていう感じです」
――気持ち良いぐらいに妄想が炸裂しまくってますね(笑)。
Tomoya「妄想で曲を作るので(笑)」
――(笑)妄想抜きでは語れないと。では、その妄想を語られた皆さんはいかがでした?
Mika「ドラムは、〈ダンダンダンダン!〉って山に響き渡るイメージで(笑)。最後、バスドラとスネアとシンバルをずーっとひとりで打ち鳴らしてるっていう。最初、リーダーにこういうのがいいんじゃないか、って言われたときには〈えーっ!? そんなのアリ?〉って思ったんですけど(笑)、いまはいちばん気に入ってるところですね。自然にかえっていくような感じで。大自然に広がる音というか」
Tomoya「うん。大自然を思い浮かべて、海でもないなあ……芝生がそよいでる感じもいいなあ……あっ、森もいいなあ……とか、いろいろ妄想していったら、地球そのものになったんですけど。生命が生まれる瞬間の躍動感だ、と思って」
――歌詞も、開放的なサウンドと呼応するように外に向かってますよね。
サリー「そうですね。“Hype”のときは自分自身に向かう傾向が強かったと思うんですけど、“Stand by you”に関しては……“Stamp your feet”もそうなんですけど、どちらかというと外に向かっているかな、っていう。自分のなかに潜ることは前提としてあるんですけど、潜った先で、人と繋がりたいとか、そういう欲求が生まれた場合には外に向かうのかな、っていうのはありますね」
――歌詞を書いているときって、素のSallyさんなんですか? それともHeavenstampのフロントマンであるSally#Cinnamonなんですか?
Sally「それぞれ、そのときどきだと思うんですけど」
――なぜこんな質問をしているかというと、前に“Hype”の歌詞について伺ったときに、〈Sally#Cinnamonになる覚悟の歌だ〉っておっしゃってたんですよね。で、その言葉の意味を目のあたりにしたのが、先ほど話に出たリリース・パーティーのときで。ステージ上に立ってる人が、もう別人なんですよね。普段はシャイすぎるところが転じてクールに見える方が。
Sally「はい(笑)」
――豹変、という言葉がピッタリというか。このSallyさんの存在感も、Heavenstampの大きな武器になってると思うんですよね。
Tomoya「ビックリしますよね。楽屋にいるときとはホントに別の人になってるので(笑)」
――そこはなにか、スイッチが入るんですか?
Sally「わからないんですよ、私自身も。なにかが溢れ出て、その結果でああなるんだと思うんですけど(笑)」
Shikichin「あとでライヴの映像を観ると、〈うわっ!〉ってなることが多いかもしれないです。歌ってるとき以外の動きとかも、〈ああ、今日もブチ切れてるなー〉って(笑)。でも、それによって僕も持ってかれるじゃないですけど、テンションがいい具合に上がったり」
Mika「それはあるね。Sallyの表情は見えなくても、テンションは伝わってくるし」
――そうしたSallyさんのキレ具合は、ラッセルさんと共演される5月30日のライヴでも期待できると思うんですけど……あっ、Tomoyaさんはそこで、Tシャツ対決とか……。
Tomoya「(笑)いきなり2人で〈マリオ〉のTシャツじゃあ、説得力がなくなっちゃうと思うんで……」
――はは、そうですね(笑)。では締めとして、今後の活動についての予告をお願いできますか?
Tomoya「今回の作品はど真ん中でキャッチーなものではあると思うんですけど、僕らは他にもいい武器をいっぱい持ってるし、それをこれからもどんどん出していくので、楽しみにしててもらえればな、思います」