インタビュー

LONG REVIEW――LAST ALLIANCE 『for staying real BLUE.』

 

〈努力・友情・勝利〉……80年代の〈少年ジ●ンプ〉黄金期によく見られたテーマだが、LAST ALLIANCEの曲を聴いていると、いつもこの言葉が浮かぶ。彼らはそんな普遍的な世界観を体現する、いまどき数少ないバンドだと思う。

このたび、『Keep on smashing blue,』の連作となるLAST ALLIANCEのニュー・アルバム『for staying real BLUE.』がリリースされた。キャッチーでありながらブルーな哀愁を帯びたメロディーと、息の合ったツイン・ヴォーカルという彼らの旗印は、もちろんここでも不変だ。そして前作同様に、メロディック・パンクをルーツにしたハイブリッドなサウンドも。音楽性を絞ってわかりやすく(=受け入れられやすく)するのではなく、自分たちの持ち得る武器を詰め込み、〈これが俺たちの集大成だ!〉と言わんばかりの熱量過多な全15曲(さらに通常盤にはボーナス・トラック2曲も)が並んでいる。

一丸となったバンドの演奏も、緩急に富んだリズムも、圧倒的なエネルギーを放っていて、これは初回限定盤に付属されたライヴDVD(こちらも15曲入り!)でもご覧いただきたい。また、サザンオールスターズや広末涼子らの作品を手掛けたプロデューサー、藤井丈司が3曲で助力し、ダンス・ロック曲"Redesign"などでポップな色合いを大きく引き出しているのも新鮮だ。

そして何より、彼らの特長は英語・日本語を使い分ける詞にある。曲中の登場人物はしばしばシリアスな現実を見据え、それでも明日への希望を持ち続けているが、本作にはバンド自身やその音楽を指している(と取れる)詞が大きく増えた。困難な状況でも音楽の持つ力を信じ、仲間を信頼し、その音楽性を突き詰め、未来への扉を開こうとする。その姿勢こそまさに〈努力、友情、勝利〉。そこには実体験が反映されているからか、強い説得力と共に、表現者……というより人としての度量や器の大きさをも感じ取ることができる。

彼らの足取りは決して順風満帆ではなかった。さまざまな苦難を共に乗り越えてきた、運命共同体とも言える存在のバンド仲間。〈そんな考えはもう古いよ〉という向きもあるだろうが、それこそが彼らの彼らたる由縁であり、それはもうグループ名からもあきらかだろう。集大成であり、新章の始まりであり、バンドとしての本質を体現した本作には、〈渾身〉という言葉が相応しい。

 

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掲載: 2011年06月14日 18:00

更新: 2011年06月15日 18:01

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