INTERVIEW(2)――気軽なスタンスで音楽を楽しみたい
気軽なスタンスで音楽を楽しみたい
哺乳類ウシ目ラクダ科の、あの可愛らしい生き物からそのまま取ったふわふわしたバンド名は、ギター・ロックとエレクトロニック・ミュージックを通過した彼らのフリーフォームな音楽性とそこから広がる可能性を如実に物語っているかのようだ。そして、そんなLAMAのファースト・シングル“Spell”からは、これまでのキャリアに寄りかからず、彼ら自身が手探りで未知なる音の楽しみ方を模索するスリルや奇跡的なフレッシュネスが音の隅々から伝わってくる。
「タイトル曲“Spell”は全員に共通するわかりやすいもの、話すまでもなくわかるポップ・ミュージックを作り上げているし、カップリングの“one day”は〈みんなどうやるんだろう? どういう音を乗せて、どういうものを作るんだろう?〉って、自分でも楽しみながら作ってましたね」(ナカコー)。
「僕の場合、普段は“one day”みたいなことばっかりやってるので、親しんだリズムの作り方でハイエンドがキラキラしている“Spell”が僕にとっては逆に変化球だったんですけどね。あとダンス・ミュージックって、BPMは120から130なのに対して“Spell”のBPMは147なんですけど、そのテンポって、ダンス・ミュージックにはほとんど存在しないんですよ。だから、バンドにとってはあたりまえのテンポでも、僕にとっては毎回挑戦なんですね」(牛尾憲輔)。
フルカワがヴォーカル、田渕と中村がコーラスで寄り添うアプローチから放たれるタイトル曲のアップリフティングなダンス・ロック“Spell”、そして、ブレイク・コアばりのビート・プログラミングと歌詞のメッセージ性が印象的なカップリング曲“one day”。本作の対照的な2曲とメンバーの対照的な感想を繋ぐのは、このバンドが秘めた心踊るポテンシャルだ。
「方向性を探っていくなかで自由に色を出しているから、タイトル曲とカップリング曲はきれいなコントラストになっていると同時にカップリング曲はアルバムの内容を想像しやすい気がしますね。今後ですか? スタッフからも〈このバンドはホントに存在してるのか?って思われてる節があるから、ちゃんとやってくださいね〉って言われてるんですけど(笑)。純粋に楽しい現場がもっと欲しいと思っていたし、気軽なスタンスで音楽……旋律だったり、素材自体なんかを楽しみたいんですよね。暗いニュースが多いからこそ、そういう音楽の根本的な部分を楽しめる場所を確保したくて、このLAMAを始めたつもりなので、いがみ合いなどが生まれなければ(笑)、コンスタンスにやっていきたいなと私は思っているんですけどね」(フルカワ)。
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