インタビュー

LONG REVIEW――NICO Touches the Walls “手をたたけ”

 

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絶好調! 2011年夏のNICO Touches the Wallsは、まさにそんな状態にあると言っていいだろう。ありのままの自分たちを詰め込んだ『PASSANGER』から4か月で早くも届いたニュー・シングルの表題曲“手をたたけ”は、ホーン・セクションを導入したフェスティヴァル仕様のアッパーなサマー・チューン。ストリングスも加えたこれまで以上に王道なポップス路線のアレンジで、ノイズのなかに沈み込んでいくようなサイケデリックな間奏がキモのトランシーなカップリング・ナンバー“速度”とは好対照。エッジの効いたロックと、大衆的なポップのど真ん中を行くNICOの歩みには、少しのブレもない。

さらに印象的なのが、6月10日にZepp Tokyoで行われた全国ツアーの最終追加公演で披露された“雨のブルース”のライヴ・テイク。2006年に発表された初音源『Walls Is Beginning』に収録されていたバンドの最初期の曲だが、まるでソウル・シンガーのような熱の入った歌声は、光村がヴォーカリストとして格段に成長を遂げたことを感じさせるに十分。この歌の力と、“手をたたけ”で聴くことのできるストリングスのアレンジを織り交ぜ、今年の冬は王道のウィンター・ソングなんかも作ってくれたら……なんて、早くも次の展開を期待してしまうぐらい、現在のバンドの状態の良さが伝わってくるシングルなのである。

 

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掲載: 2011年08月10日 18:01

文/金子厚武