INTERVIEW(3)——昔ながらの感じも出したい
昔ながらの感じも出したい
――対馬くんのソウルフルなドラミングも、すごくグルーヴありますね。
光村「いわゆるモータウン系ですね」
対馬「ぶっちゃけあんまり意識はしてなかったんですけど、〈呼ばれるままに〉という感じがこの曲は強かったですね。ギター・ソロのあとの、〈重なるリズムが弾けりゃ〉のところのキメはミッチャンとかが考えて、そこで俺は〈なるほどね〉と、この曲の感覚がわかったタイミングがありました。この部分は、この曲のなかでも特にしてやった感は感じますね」
光村「いわゆるジェイムズ・ブラウンがよくやる感じというか。あそこが録っていていちばん楽しかった」
対馬「目がキラキラしてたよ(笑)」
坂倉「ブラスが入ってくるから、イントロもアウトロもそれ用にアレンジがしてあるんですよ。みんなを巻き込めるものにしたいねと言って作っていったので、イントロから踊れる曲になってると思います」
古村「ギターは指弾きで、ちょっとカントリーっぽいフレーズがあるんですよ。ブラスが入るけどギターも楽しくやるポイントみたいな、うまくそこにぶつけられたのですごく楽しかったですね」
光村「めちゃくちゃポップでストレートな曲だけど、昔ながらの感じを出したいというのはある種コンセプトとしてありました」
――そのへん、すごくNICOらしいですよね。古いものへの造詣の深さと広さを、コンセプチュアルに曲に活かすというやり方が。
光村「それをあえてやれるというニヤリ感はありますね」
――もう一度歌詞の話に戻ると、やっぱりいまの時代を歌っているなと思うんですよ。NICOなりの表現で、人を元気づけたり励ましたりする意図があると思うし。
光村「そうですね。原曲は震災前に出来ていた曲ですけど、震災があってから改めてこの曲の必要性を感じたから、そこから歌詞の感じ方もより深くなったし、より研ぎ澄ましていかないといけないと感じたので。いまここで、俺らがこういう曲をやれて、しかも何一つ言葉に嘘がないという、それはいちばん大事なことだと思っているから。そういう責任感はありますね、ミュージシャンとして。しかもそれが音楽の役割だとはっきり思ったから。そういう気持ちに素直になってこういう曲をやれるということが、たぶん俺らがいまできる唯一のことかなと思ってます」
――ですね。
光村「いまこの瞬間に届かなくても、音楽っていつ聴いてもいいものだと思うし。聴きたくなったときにこういう曲を聴いて励まされたとか、そういうふうに思ってもらえればいちばんいいんで。いつ聴いてもらってもいい曲にしたいというのが、この曲ですごく振り切れた理由のひとつでもあったんですけど。音楽ってそういうもんだなって。〈いま聴いてほしい〉という気持ちはあるけど、受け取るタイミングは自由だから」