INTERVIEW(2)――自分で燃えて、本気になれる曲
自分で燃えて、本気になれる曲
――そういうなかで、ライヴがバンドの勝負できるポイントだというところが定まっていったわけですよね。“Future is now”や“OVERDRIVE”も、ライヴの場をちゃんと作ることのできる曲として機能している。
SATOSHI「その2曲は特に、ライヴをモロに意識した結果ですね」
KOJIMA「ライヴでやらない曲って、どんどん忘れていっちゃうんですよね。どれだけ好きな曲であってもライヴでハマらない曲だったらそうなってしまう。だったらライヴでやれるような曲をめざして作っていったほうがいいと思うから。今回はそういうところに的を絞ってやりました」
――具体的な曲の作り方の面で、ライヴ映えするポイントってどういうところにあると思います?
KOJIMA「ウチらのなかで山嵐なりのキャッチーさというものがあって、それを曲のなかに織り込んでいく作業というか。自分で燃えられたり、本気になれたり、熱く気持ち良くなれたりしたら、それは誰かに伝わるだろうと信じる気持ちがある。そこを元にやってますね。それに加えて、ライヴの跳ね返りとかで、こういう部分をキャッチしてもらえるんだなっていう手応えもあるし。そういうものを積み重ねてきたなかで、いまなりのものを出そうという感じですね」
――たとえば、“OVERDRIVE”の歌い出しのラップのわざとずらした拍の踏み方とか、“心眼”でドラムが三連符で入ってきたりとか、違うグルーヴやリズムをあえてぶつけるところが、山嵐の曲で〈燃える〉ポイントだなって思うんですけれども。そういうところはどうでしょう?
SATOSHI「やっぱり、実験的なことをやるのが好きなんですよね。だから、たとえばわかりやすいメロディーがあったとしても、メンバーはわかりやすいバッキング・ギターをやってくれないし。リズムに対しても、いい意味でぶつかる。そういうことをやるのがウチらも好きなんで、そこで燃えてくれるんであれば最高ですね」
――HAN-KUN(湘南の風)とKAI-SHINEが参加した“LINK UP”はダンスホール・レゲエも融合したような曲ですけれども。これは、どうやって出来ていった曲なんでしょう?
SATOSHI「もともとHAN-KUNとKAIは地元の気心の知れた後輩なんで、ずっと〈やろうよ〉とは言ってたんですよ」
KOJIMA「で、HAN-KUNがウチらのスタジオに来て。その日はみんな飲んでたんですよね。HAN-KUNが来た後もテキーラ飲んでて。それで、結構みんなデキ上がっちゃって。で、ノリノリになれる楽曲はざっくり作ってたんですけど、ここは誰が歌うっていう重要な話をしてる時にSATOSHIが酔いつぶれて寝ちゃって(笑)」
SATOSHI「で、起きたら俺のノートにここは誰って書いてあった(笑)。俺は最初の8小節しか書いてないんだけど、まあ、記憶なくした俺が悪いかなって(笑)」
KOJIMA「それで、各自が受け持ったところを作ったって感じですね。酔っぱらいながら出てきたメロディーとか、そういうとこも詰めてレコーディングしていったという」
SATOSHI「まあ、なんというか、お互い格好いいのをわかってるから、別に大丈夫でしょう!って感じで」
――スタジオに仲間で集まって、飲んだりすることは結構あります?
SATOSHI「たまにありますね。まあ、みんなそれぞれ忙しいんですけど、乾いたフィーチャリングしてもおもしろくないんで。録るギリギリ直前までいっしょに遊ぶ感覚は持ってたいんですよね。地元も、家も近いんで集まりやすいんで。でも、それまでには、HAN−KUNとどうせやるならこんな感じの曲にしたいよねというディスカッションはずっとしてたんで。そこで1回集まって音を鳴らしてみて、という」
――地元愛を歌ったリリックになったのは?
SATOSHI「勝手にそうなるんですよ。4人全員同じところに住んでて、初めていっしょに曲をやるんだったら、結果的にそうなるのはわかってた。あとは、4人がそれに向かってトピックを書いたら、いろんな方向に歌詞の内容が飛んでいっても、それが収まるのもわかっていたんで。だからある程度安心してた感じですね。どんなのが出来るんだろう?という不安はなくて」
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