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インタビュー

毛皮のマリーズ 『毛皮のマリーズのハロー! ロンドン(仮)』

 

 

 

前作アルバムからわずか7カ月半という驚異的な短いタームで、毛皮のマリーズがニュー・アルバムを発表する。
<深い悲しみ>をコンセプトに、世界的に有名なロンドンはアビ—・ロード・スタジオにて録られた楽曲を含む
全11曲は、またしても聴き手の予想を裏切り、前作を軽く凌駕するものに仕上がっている。
そんな 新しい問題作(ニュー・アルバム)をヴォーカルでフロントマンの志磨遼平が語ってくれた。 

 

超ローファイと超高級スタジオでのプレイとレコーディングの融合

「次の作品は、<ロックバンド・毛皮のマリーズ>のための作品にしますから」。
前作アルバム『ティン・パン・アレイ』の発売直後、ヴォーカルの志磨は
早くも僕にそう宣言してくれた。
そして、その言葉を受け、僕は想像した。
きっと次の作品では、粗野で荒々しく、パンキッシュでロウな、4人だけで作り上げる
バリバリなロックンロール・アルバムが登場することを。

 

 しかし現れたのは、タイトルにしろ、内容にしろ、多くの人を驚かせ、
「今回はこうきたか!」とニヤリとさせる、またもや<新しい問題作>とあいなった。

 

「僕もてっきり前作のカウンター的な作品になるだろうと思ってました(笑)。
自分たち4人以外の音は一切必要としない、ラフでダーティ、生々しいサウンドに、
『ティン・パン・アレイ』での喜びや輝かしい光とは真逆の感情。
例えば、深い悲しみや絶望、喪失感に満ちた、絶望や悲しみ、無情をぶつける、
目も当てられない無情な楽曲ばかりになるだろうと。
でも、出てきた曲たちは、いずれもそれらとは正反対。正直、これには僕自身も当初は意外でした」。

 

 ドラマティックでドリーミーな楽曲が揃った印象もある今作。
どの曲も深い悲しみを帯びながらも、この時代だからこその一緒にいる感、夜明け感、大丈夫だよ感を漂わせている。

 

「結果、なんだかとても静かで美しい作品になりましたね。
作品全体のテーマとして大きく横たわっているのは、<深い悲しみ>で。
悲しみは悲しみでもその底辺。そこから始まりながらも、最初の7曲では、それが消化されていくプロセスを、
後半の3曲では、それを更に昇華させていく過程が描かれてます。
振り返れば、僕が当初思い浮かべていたのは、悲しみではなくアクシデントに近いものだったかなと。
そう考えると、僕よりも音楽の方が<悲しみ>というものを知っていたんでしょうね」

 

霧やもやの中から輪郭が徐々に現れてくるが如く、諦念や絶望から始まりながらも、聴き進めていくうちに、
おぼろげながらの光や信じるものを感じさせ、そこへ誘い、最後はとてつもない祝祭へと導いてくれる今作。

 

「一聴、タイプもバラバラに聞こえるでしょうが、キチンとしたコンセプトはあるんです。
それが僕達が絶対に持っている深い悲しみ。カルマや運命や業等の追求で。
夜を突きつめて行くと夜明けに近づくじゃないですか。
同様に深い絶望や諦念を追求していくと、その果てに続いているのは、
美しい風景や光景なんじゃないかと。悲しみは深化していけば行くほど、
祈りに似て、どんどん希望を含んでいき、沈めば沈むほど美しい光景に近づいていく。
僕はそう思ってるんです」

 

 

  

   今回のアルバムの仮タイトルは『毛皮のマリーズのハロー! ロンドン』。
これは後半3曲がロンドンのアビー・ロード・スタジオにてレコーディングされたことに起因する。
そう、ザ・ビートルズを始め、世界的に重要なロック/ポップスの作品の数々を生み出してきた
超名門スタジオにて録音された3曲が今作には含まれている

 

「当初は、<自分たちで録ろう>的な話をしていて、その後、逆に超高級な世界的なスタジオで録り、
その超ローファイと混載するアイデアが浮かんできたんです。
まっ、そのアビ—・ロードにしても、<どうしてもそこで>ではなく、
超高級なスタジオのイメージがそこしかなかっただけのことで(笑)。
なので、最初の7曲は、プロトゥールス(レコーディング機器の一種)を、よく利用するライヴハウスやスタジオに
持ち込み録り、後半3曲は、「せっかくのアビ—・ロードだし、まんまビートルズを演ろう」と、
彼らの初期、中期、後期っぽい曲をそれぞれ録ったんです」

全体的に音の豊かさやヴィンテージ的な質感を持つ今作。
音のバランス、各楽器の立体性や距離間の生々しさも含め、音作りや音処理、鳴りや響きにもかなりこだわっている。

「最後には、アビ—・ロードで録ったものも、あえて日本での音にまで劣化させました(笑)。
ドラムはあえてアナログの卓を通して録ったし。マイクの数もなるべく少なく、不思議なエコー感や温かみがある、
ドライな感じを目指しました。

その為、ミックスしたものをアナログのハーフのテープに落し、そこからもう一度卓に戻したり…。が故の
もっさり感やブライトさ、あたたかいローが上手く出たかな」

 

 

あえて出典は差し控えるが、今回も古今東西、様々なロック・アーティストへのオマージュが散りばめられ、
前作同様、自分たち以外の楽器も頻繁に起用されている。
 8/24には、先日の『ティン・パン・アレイ』完全再現コンサートのライヴDVD「CONCERT FOR “TIN PAN ALLEY”」を
リリース。
10/8からは全19公演にも及ぶ全国ツアー「TOUR 2011“Who Killed Marie?”」も行う彼ら。
そして、そのツアー・ファイナルとなる12/5には、あの日本武道館での公演も控えている。
 聴き手の予想を軽く凌駕し、初めて聴く際に飛び込んでくる、快感にも似た<してやられた感>と<待ってました感>は、
更に強まった印象を受けた今作。諸君、またしても、マリーズは次なる高みへ僕らを招き寄せる。間違いはない。
さぁ、もろ手を上げて彼らについていこう!

 

■NEW ALBUM 『毛皮のマリーズのハロー! ロンドン(仮)』……9/7 on sale!

■SONG LIST…

01.End Of The World
02.HEART OF GOLD
03.ラストワルツ
04.夢のあと
05.上海姑娘
06.ラプソディ・イン・ザ・ムード
07.The Ballad Of Saturday Night
08.毛皮のマリーズのハロー! ロンドン
09.となりにいてね
10.ダンデライオン
11.JUBILEE

 

■LIVE……「毛皮のマリーズ TOUR2011 “Who Killed Marie? ”」

10/8(土) 水戸 LIGHTHOUSE
10/10(月・祝) 宇都宮 HEAVEN'S ROCK
10/11(火) 盛岡 ChangeWAVE
10/13(木) 札幌 PENNY LANE 24
10/15(土) 仙台 Rensa
10/22(土) 名古屋 ボトムライン
10/23(日) 長野 JUNK BOX
10/27(木) 金沢 van van V4
10/28(金) 新潟 LOTS
11/2(水) 高崎 FLEEZ
11/5(土) 高松 DIME
11/6(日) 広島 CLUB QUATTRO
11/8(火) 高知 X-pt.
11/9(水) 岡山 IMAGE
11/11(金) 福岡 DRUM Be-1
11/12(土) 熊本 DRUM Be-9 V1
11/18(金) 浜松 窓枠
11/20(日) 大阪 なんばHatch
12/5(月) 日本武道館 

 

■PROFILE… 毛皮のマリーズ

志磨遼平(Vo.)、越川和磨(Gt.)、栗本ヒロコ(Ba.)、富士山富士夫(Dr.)。
03年に結成、10年4月に『毛皮のマリーズ』でメジャー・デビュー。
11年1月にリリースした2ndアルバム『ティン・パン・アレイ』はオリコン初登場6位を記録
。11年9月、早くも3rdアルバムを発表し、12/5にはツアー・ファイナル日本武道館公演が決定している。

   
記事内容:TOWER 2011/9/5号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年09月05日 12:33

ソース: 2011/9/5

Interview & Text:池田スカオ和宏(LUCK’A Inc.)