インタビュー

INTERVIEW(2)――わかりやすく伝わる曲



わかりやすく伝わる曲



――音の変遷についてもお訊きします。デビュー・アルバムの『Jazzin'park』は、比較的クロスオーヴァー志向が強い作品ですよね。


久保田「そうですね。当時は4ヒーローとか、あと北欧のクラブ・ジャズとかに2人とも憧れていた時期だったんですよ」


栗原「そこがお互いの共通した好みだったんですよね。とにかく格好良いなあと。どうしたらこういう音が作れるんだろうと考えたことが、Jazzin'parkの出発点になったのかもしれないです」


――そこから、リリースごとにハウスの部分が徐々に強くなっていったように感じたんですが。


栗原「意識してそういう流れになったわけではないんですけどね。ひとつには当時のシーンの流れもあっただろうし……」


――2000年代後半の日本のクロスオーヴァー系アーティストが、ハウス主体に移行していく傾向がありましたよね。


栗原「その影響はあったと思います。あと、僕がDJをやらせていただく機会が増えていったので、現場からのフィードバックもあっただろうし」


久保田「制作している時も〈現場でかけられるものが良いね〉みたいなことを話すようになってきて」


栗原「僕らの曲ってスタイルが結構バラバラなので、例えばクラブでライヴする場合にはできない曲も多いんですよ。だから、なかなかセットが入れ替わらなかったりしていた。そこでハウス的な楽曲が増えていったところもあったかもしれないですね」


――確かに、Jazzin'parkの音のスタイルは多彩ですし、ポップスとして成立する曲も多いですよね。


栗原「最近は、お互いにそういうポップス志向を強く出してますし、特に真悟くんはポップスを作りたいって気持ちがあったんじゃないですかね」


久保田「そうですね。逆に、自分は邦楽をまったく通らないできてしまったんですよ。親父の影響でファンクとかジャズばかり聴いてきたので、カラオケに行っても何も歌えない(笑)。20代に入ってから初めてJ-Popに向き合って〈J-Popってこんなによくできてるんだ〉ってビックリしたんですよね。それで、〈こういうものを作れるようになりたい〉と勉強して」


栗原「4ヒーローと同レヴェルの驚きが(笑)」


久保田「いや本当に、自分にとってはそれくらいの衝撃があったんですよ」


――J-Popと向き合ったきっかけはなんだったんでしょう。


久保田「最初に話した、脱退してしまったバンドが、女の子がヴォーカルのポップなバンドだったんですよ。でも、J-Pop的な音楽を作るのが自分にはものすごく難しくて、これは無理だと挫折して、辞めちゃったんです」


――ポップスの洗礼を受けた……みたいな。


久保田「その一方で、暁と出会ってからいろんなクラブ・ミュージックを知って、ものすごく影響を受けた。ポップスとクラブもの、この2つをどう混ぜたらいいのかなってことを考えて、Jazzin'parkの音が確立していったんじゃないかなと」


――そのバランス感覚がJazzin'parkの大きな魅力になってると思います。


久保田「最近はJazzin'parkの活動だけではなくて、他のアーティストに楽曲提供をする機会も増えてきてるんですよ。そこで〈一般の人にわかりやすく伝わる良い曲ってどういうものなのかな〉ってことをすごく考えるようになったんです。その結果が新しいアルバムには表れてると思います」


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掲載: 2011年12月07日 17:59

更新: 2011年12月07日 17:59

インタヴュー・文/澤田大輔