INTERVIEW(2)――私も辞めたほうがいいのかなって
私も辞めたほうがいいのかなって
――そんな感じでいたら、そのうちNegicco結成の話が出てくるわけですね。
Kaede「そうですね、そのあとぐらいに。それもやっぱり従姉妹きっかけでスクールに入って、入ってからも従姉妹の後ろをついて回ってるだけで、特別自分から何かをやろうっていうのもなかったので。〈いろいろオーディションとか経験したほうがいいんじゃない?〉〈どうせ入ったばっかりで受かるわけないんだから、受けるだけ受ければいいじゃない〉って母に言われて、それで受けに行ってたら、なんとか受からせていただいて」
――それで、いきなりNegiccoになるわけですか。
Kaede「でも、ホントに全然受かるとも思ってなかったし、受かったメンバーが3人とも大先輩だったので、やっていけるのかなってずっと思ってて」
――Nao☆さんとMeguさんが1期生、Mikuさんが2期生で、自分だけ4期生だったわけですよね。しかも、1人だけ小学生で。
Kaede「そうです。だから何を話せばいいのかもわかんなくて、どうしようって思いました」
――もう辞めたいって(笑)。
Kaede「いや、辞めたいとは思わなかったです。ついていけるかなっていう不安があっただけで」
――Negiccoっていうグループ名を聞いてどう思いました?
Kaede「あんまり特に(あっさりと)」
――Negiccoってグループ名で調子に乗りようもないと思うんですよね。
Kaede「そうですよね(笑)。むしろ隠れてたほうがいいのかな、みたいな。胸を張ってNegiccoとはたしかに言えなかったです。自分としては嫌ではなかったんですけど、周りの評価ってそういう感じなんで、〈Negiccoかよ。なんだよネギって〉みたいな」
――いまでもたまに笑われたりしますもんね。
Kaede「ホントですか?」
――ボク、TBSラジオの『小島慶子キラ☆キラ』(*)っていう番組にレギュラー出演してるんですけど、この前、ピエール瀧さんがNegiccoって単語を聞いただけで爆笑して、〈なんなの、それ?〉ってことで、急遽Negiccoの説明する羽目になって。だから、そうやってフックにはなるんですよ。
*TBSラジオの人気番組。ピエール瀧と吉田豪は毎週木曜日に出演中!
Kaede「印象には残りやすいですよね」
――そうです。格好悪いかもしれないけど武器にもなるっていう。
Kaede「そういうふうになってるんだったらいいんですけど。覚えやすいし、絶対忘れないですよね」
――話を戻すと、小学校ではその後なんとかなったんですか?
Kaede「ああ、なんとか。いちばん仲良かった子がいたけど、その子は普通だったので。『ポップジャム』かなんかに出たあとに、さっきの手紙をくれたんだろうなって子たちから、〈私たち、友達だよね〉って言われて(笑)」
――うわーっ!
Kaede「まあ、〈違うよ〉とも言えず。〈じゃ、そういうことにしとこうか〉みたいな感じで」
――ありますよね、そういうの。これからもっと有名になったら、もっと増えますよ。Perfumeがブレイクした直後にインタヴューしたとき、「いまたぶん親戚とかお友達がどんどん増えてる頃だと思いますけど」って言ったら、「増えました!」って言ってましたからね。
Kaede「そうですね、それは〈U.M.U AWARD〉のときもすごい思いました。〈え、この子、誰だっけ?〉みたいな子からメールが来て、〈覚えてる?〉とか言われて。〈そんなしゃべったことないんだけど……〉みたいな。とか言われて。そういうもんなんですね」
――そういうことの積み重ねでリヴェンジしていく感じなんですよ、人生は。
Kaede「はい、少しでも見返していけるように(笑)」
――Negiccoには、いくら見返していいぐらいの苦労がありますからね。
Kaede「そうですね。活動期間が長いですからね」
――最初は期間限定の企画物として始まったNegiccoが、意外と好評だったってことで期間限定じゃなくなるわけじゃないですか。そのときも流されるタイプとしては〈じゃあ、やってみようかな〉ぐらいのボンヤリした感じだったんですか?
Kaede「でも、ホントにNegiccoを抜けようと思った時期があって。……っていうか、メンバーが抜けるときに私も抜けようと思ってて」
――4人組だったのが、Mikuさんが抜けて3人になったとき、もしかしたら2人になるかもしれなかった。
Kaede「そうです。抜けたメンバーが〈気持ちがついていかなくなった〉って言ってたんだったっけな? 〈ずっと辞めたいと思ってた〉みたいなことを言ってて」
――まあ、先が見えない頃ですからね。
Kaede「そうですね、なんにも見えない状態で。すごい有名でちゃんと活躍できてたらいいんですけど、やっぱり勉強もあるし、このまま続けてていいのかなって思いはじめて。戻るっていう言い方になるのか……」
――普通の人生に戻ったほうがいいんじゃないか、と。
Kaede「このままダラダラ続けていくんだったら私も辞めたほうがいいのかなと思ってたんですけど、2人が一生懸命〈考え直してみてよ〉って言ってくれて。でも、やっぱり辞めたいなって思いながら、何回かイヴェント出てるうちに、やっぱり楽しいなって改めて思えるようになって、〈やっぱり続けさせてください〉っていうことで、3人で続けることになりました」
――たとえばスクールが消滅するって聞いたときはどう思いました?
Kaede「スクールがなくなるって聞いて、じゃあNegiccoも終わりなんだなって思ったんですけど、すぐ新潟のちっちゃい事務所に所属になりますって説明をされて、じゃあ続くんだなって、そのときはたぶん流されたんだと思います。その当時のマネージャーさんが、スクールがなくなった時点でいなくなっちゃったので、これからどうやってやっていくのかなっていう不安はすごいありました」
――だけど一番下だから、ついていくしかないなっていう。
Kaede「そうです」
――先は全然見えないけど。
Kaede「なんにも見えなかったですね。ただ、当時は徳間プロモーションさんと提携はあったので、東京のお仕事とかもあったのは大きかったかもしれないですね。新潟で地元のイベントに出るだけだったらどうなったんだろうなって思うんですけど、ちょっとした地方アイドルブームっていうか、そんな大きいブームじゃなかったとはいえ」
――モーニング娘。バブルで、いろんな地方アイドルが出てきた時期で。
Kaede「それでお仕事もあったので、それなら大丈夫かなと思って」
――ところが、ほかの地方アイドルがどんどんいなくなっていくわけじゃないですか。
Kaede「そうなんですよね。あのオムニバスCDに参加したグループもほぼ全員いないですよね……。厳しいなって思います」
――『地方発アイドル大集合!!』(*)と『もぎたて アイドル発見伝』(**)の2枚とも、そんな感じになっちゃいましたからね……。そういう中で、Negiccoも解散の危機が何度もありながら、よく乗り越えてきたなっていう。
*里中唯を輩出したC-ZONE(千葉)をはじめ、タッチ(北海道)やBreeze(名古屋)らローカルアイドルの楽曲を集めたコンピ。Negiccoの“恋するねぎっ娘”を収録。
**昨年ライヴ活動を再開したサンフラワー(広島)をはじめ、Fortune Cookie(熊本)やLittle Angel(北海道)らの楽曲を集めたコンピ。Negiccoの名曲“For a long time”収録。
Kaede「ホントに……。でも、継続して仕事があったから続けられたのかなって。熊倉さん(マネージャー)がいたから、新潟の仕事はとりあえずあったので」
――地道に地元を中心に活動して、地道に新曲を作り、地道にCD-Rを作り。
Kaede「そうですね、地道にCD-Rを焼いて(笑)」
――まあ、不安だらけの状況ですよね。
Kaede「そうですね。楽しいから続けられましたけど」
――ただ、学業との両立問題もあるし、卒業したらどうしようっていう悩みも出てくるじゃないですか。
Kaede「そうです。高校入学もどうしようとか」
――そうか、小学生から活動を始めてるから全部悩むんですね。
Kaede「全部ですね」
――中学、高校、大学、そして就職はどうしようっていう。
Kaede「そうですね、いまだに悩んで(笑)」
――何度も悩みながらも芸能界でやっていく道を選んだわけですけど、いちばん辞めようと思ったのはメンバーが3人になったときだったんですか?
Kaede「ではないですね。『ヌキ天』直前です」
――進路で本気で考えて、辞めようと思ってた時期。
Kaede「そのとき高校3年生だったんですけど、大学に行くべきかなあ……とか、やっぱり年齢的にもなあ……とか考えて」
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