インタビュー

INTERVIEW(4)――「店長さん?」「いや、社長」



「店長さん?」「いや、社長」



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――長年活動してきたけど、〈ネギを持ってネギの歌を歌うNegiccoっていうのがいるんだ〉っていうことが、あの大会をきっかけに広まった部分も大きいですよね。

Kaede「そうなんですよね。結局メディアの力の大きさがわかったというか。その頃ぐらいからどんどん仕事が増えたし、ホント大きかったですね」

――U.M.U AWARD優勝があり、『からくりテレビ』での地上波出演があり、タワレコのT-PaletteからのCD全国リリースがありで、どんどんいい流れになってきて。

Kaede「ホントにあっという間で、2011年は早かったですね」

――去年はちゃんと追い風が止むことなく、ずっと吹き続けてましたからね。

Kaede「一回も落ちなかったですね、一応。これが今年につながればいいなと思ってます」

――これからタワレコの嶺脇社長が見放したり、失脚したりしない限りは大丈夫だと思います!

Kaede「そうですね、社長さんに嫌われないようにしないと(笑)。いままでそういうことを経験してきたって社長さんが知ってくださってるので、心強いです」

――嶺脇社長が普通にNegiccoの現場に通ってたっていう事実が、まず信用できますよね。

Kaede「ホントですよね(笑)」

――Negiccoのまつり湯(*)のライヴが大好きで、いつも通ってたっていう(笑)。
*東京は浅草にあるデパート・浅草ROX内の健康ランド

Kaede「しかもいちばん前で(笑)」

――嶺脇社長がアイドル専門のレーベルを立ち上げるって聞いたとき、最初にバニラビーンズとNegiccoを選ぶ時点で信用できると思ったんですよね。いまアイドル・バブルだからAKB48に便乗してこれで金儲けしてやろうっていうスタンスとは、あきらかに異なるチョイスという。

Kaede「ああ、そうかもしれないですね」

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――バニラビーンズはキャラクターもトークも素晴らしいけれども、音楽的な方向性にブレが出てるのを原点回帰させたいっていうテーマが見えるし、Negiccoはライヴも楽曲もいいんだけど、それがちゃんと世間に届いてないからなんとか届けたい、みたいなテーマが見えるんですよね。そして嶺脇社長は本来だったらもっと若いアイドルが好きな人なのに、あえて20代のグループを推すあたりもまた信用できて(笑)。

Kaede「そうですね(笑)」

――初めてちゃんと嶺脇社長と会話したのが渋谷タワレコ地下での会見の席上だったっていうのも、いい話ですよね。それまで物販とかで軽く話すことはあっても。

Kaede「しかも社長とわからずに話してたので、まさかっていう」

――よく出来たおとぎ話みたいなんですよね、ホント。いつも通っている中年のヲタの人がいて、何をしてる人なんだろうなと思ってたら、じつはそれがタワレコの社長で、「君たちのためにレーベルを作りました」みたいな。

Kaede「すごいですよね! ホントにビックリしました。ドラマみたい!」

――あまりにもよくできた話すぎて、嶺脇社長が『タモリ倶楽部』で特集されるぐらいになったわけで(笑)。

Kaede「不思議なこともありますよね」

――お客さんで来てるときから嶺脇社長の印象はあったんですか?

Kaede「そうですね、最近来てくださるな、この前も来てくださってたなっていうぐらいで。ホントにそれぐらいしかなかったんですけど、あとからクマさんに〈おい、あの人、タワレコの社長だってよ!〉って言われて」

――「お前ら、失礼なことしなかったかな?」みたいな。

Kaede「しましたよねって感じで(笑)。〈店長さんとかじゃないんですよね?〉〈いや、社長〉とか言われて、やってしまった……と思って(笑)」

――やってしまったってほどのことじゃないですよね。

Kaede「いや、ライヴ中に肩をポンッと叩いちゃったから……」

――なんの問題もないですよ(笑)。

Kaede「ホントにビックリしました」

――嶺脇社長が「Negiccoの新譜を出すのであれば、楽曲はconnieさんに頼みたい」って最初から言ってて、流石だと思ったんですよ。

Kaede「条件がconnieさんの起用でしたもんね」

――最初、タワレコからCDを出せるって話を聞いたときはどう思いました?

Kaede「全然実感が湧かないっていうか。最初に〈タワーレコードに行くよ〉って言われたときも、CDの話をすると思ってなくて、〈Negiccoです、よろしくお願いします〉って挨拶しに行くんだなって思ってたんですけど。行ったらいきなり〈connieさんが~〉とか名前が出たので、なんでconnieさんのこと知ってるんだろうとか思って。〈connieさんの楽曲の“ガッター!ガッター!ガッター!”(*)とかあるじゃないですか〉とか言われて、〈えーっ?〉とか思って。あとでクマさんに聞いたら、〈CDを出すんだぞ〉って」
*新潟のご当地ヒーロー『超耕21ガッター』のエンディングテーマ。『GET IT ON!』に収録。

――全然知らないで会話してた(笑)。

Kaede「いつの間にって(笑)。まさかタワーレコードさんから」

――そして地道にCD-Rで焼いてた楽曲までベスト盤として出るっていう。

Kaede「ビックリですよね。1枚きりなのかなと思ったら、今年はこのスパンでいくからって言われて、ちゃんと考えてくださってるんだと思ってビックリしました」

――手焼きCDは、ボクも全部は持ってないですからね。ほぼ買ってはいるけれども、1枚か2枚漏れがあって。“恋するねぎっ娘”の手焼き盤やリミックス盤(*)なんて見たことないですもん。
*2004年3月にリリースされた、“恋するねぎっ娘”のリミックス集『Negicco The Remix』。connieらがリミキサーとして参加。

Kaede「ああ、ありましたね!」

――存在を知ってるだけで、ジャケすら知らない。

Kaede「ジャケットもウチで写真を替えたりとかしてるんですよ」

――ヴァージョン違いが多いんですよね。そして同じ曲が違うシングルにも入ってたりして、よくわからないんですよ。

Kaede「カブッてる曲が2曲とか入ってたりして。『EARTH』とかも」

――ボクも通販と物販で揃えましたからね。で、“圧倒的なスタイル”が入手できない状況なのはもったいないと思って。

Kaede「ホントに“圧倒的なスタイル”は大きかったなと思います、Twitterとか見てると、豪さんのCDで聴いてみたらよかったって」

――ボクが監修した『ライブアイドル入門』ですね。そこに収録できたのも嶺脇社長のおかげですよ。

Kaede「そうですよね、HMVさんのCDですもんね」

――他社のコンピレーション盤にタワー所属のグループを参加させただけでもすごいのに、HMV大宮ロフトでやった発売記念イヴェントにも嶺脇社長が普通に参加してましたからね(笑)。ボクが司会だったから「タワレコのスパイがいる!」ってイジったら、お客さんがみんな温かい拍手で迎えてくれて。

Kaede「まさかっていう(笑)。そんな感じで、全曲入ったCDが欲しいって言ってくださる方が結構いらっしゃったので今度、ベストが出ることになりました」

――『ヌキ天』勝ち抜き後、ボクがCDの打ち合わせに行ったとき、GyaOの人がNegiccoの過去曲が全部入ったCD-Rを持ってて、〈まずそれが欲しいんですけど!〉って思ったんですけど(笑)。それが、ちゃんとこういう形で出ることになり。

Kaede「そうですね、まさか流通できるようになるとは」

――多少は変えたりするんですか? iPhoneアプリ用でしか出てない曲もありますからね。

Kaede「そうですね、“SKY”とかはちゃんと録ってないので、あと新曲も合わせて3曲ぐらいは録ります」

*来週の後編へ続く!


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掲載: 2012年01月25日 18:00

更新: 2012年01月25日 18:00

インタヴュー/吉田豪 撮影/成清徹也