インタビュー

INTERVIEW(2)――母を笑わせたくて



母を笑わせたくて



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――介護するのは得意だって言ってましたよね。

Nao☆「保育園でバイトしてたりで、けっこうわかるほうなので。兄はしゃべりはするんですけど、計算とかができないとか……」

――妹がNegiccoとして活動してることを認識はされてるわけですね?

Nao☆「はい。気持ちはわかるから。兄は家が好きなので、施設には入れたくないから、私が結婚するにしても、兄のことをちゃんとわかってくれるような相手を見つけたいなとは思っていて。兄のことを非公表にしてたのも、障がいを持ってるっていうだけで不潔なイメージとか、汚いとか……(また涙が溢れ出して)。家族旅行してても、目の前で兄のことを嫌なこと言ってくる人とか、嫌な目で見てくる人とかもいっぱいいて……。そういう人がいるから、あんまり言いたくないっていうのが……。障がい持ってるっていうだけでいろいろ言われたりすると、親とかも傷つくので避けたいなと思って……」

――気持ちはすごいわかります……。

Nao☆「べつに恥ずかしいから隠したいとかじゃなくて、私はいまのお兄ちゃんでよかったなと思ってますし。だから最近ホントに、親がいなくなっちゃったらどうしようとか、いろいろ考えるようになってます」

――私一人で支えられるのか、と。そういう環境で育つと、精神的に強くなる部分もあるだろうし、考えることも増えますよね、人生とか。

Nao☆「そうなんですよね……。だからこそ、ちゃんと……兄はAKB48が大好きで」

――そうなんですか!

Nao☆「AKBやKARAが大好きで。今回、東京に仕事に来るときも〈AKBのサインもらってきて〉って言われたんですよ」

――推しメンは誰なんですか?

Nao☆「いろいろ好きなんです(笑)。特に好きなのが麻里子様とともちんと大島優子ちゃん。こないだ大島麻衣(*)さんとお仕事がいっしょになって、兄は大島麻衣さんも認識してるので、喜ぶんじゃないかなと思って。新潟ではけっこうNegiccoも知名度が上がってきたので、兄が通ってる作業所でも、私が母といっしょに兄を送りに行くと、作業所の方たちがすごい喜んで出てきてくれるんですよ。それを見て、私のことを誇れてるみたいで、すごい喜んでくれて。だから私は中途半端な状況では終われないし、がんばりたいなと思います!」
*初期AKB48の主力メンバー。このインタヴュー収録後の1月2日に放送されたラジオ番組『大島麻衣のリッスン?』にNegiccoがゲスト出演。

――……いきなりボクももらい泣きせざるを得ない状況になってきましたけど。

Nao☆「すみません、兄の話とお祖父ちゃんの話になると涙が止まらなくなっちゃって……」

――お祖父ちゃんの話もなんですか? じゃあ、今度はお祖父ちゃんの話をじっくり聞きましょうか(笑)。

Nao☆「お祖父ちゃんは、女の子の孫がひとりだったので、すごい可愛がられてて。私が欲しいって言ったものをなんでも買ってくれたり。脳卒中で倒れちゃってからは、ずっと寝たきりになったんですけど、私が行くとわかるんです。他の人が来ても何も反応しないのに、私が声かけたり手を握ったりすると、握り返してくれたりして。親孝行もそうなんですけど、お祖父ちゃんとかお祖母ちゃん孝行も……。お祖父ちゃんは特にすごい可愛がってくれてたので、孝行したいなと思ってたんですけど、何年か前に亡くなって」

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――そうでしたか……。

Nao☆「でも、ある友達が写真を撮ると必ず何か写るんですよ。その子が高校で私を撮った写真を持ってきて、〈Nao☆ちゃんには申し訳ないんだけど、これ心霊写真じゃない?〉って、すごいクッキリ写ってるんですよ。寝たような人が。それで母に〈こういう写真があって、怖いから視てもらいに行きたいんだけど〉って話したら、〈お祖父ちゃんじゃない?〉って言われたんです。そういうのを視てくれる人のところに行ったら、〈これはたぶんお祖父ちゃんで、いまでもあなたの守護霊になってるし、いつでもあなたのこと見守ってるよ〉って言われて。寝てるような感じで身体もクッキリ写ってるので、〈これをちょっと気持ち悪いなと思って捨てるのもありだし、記念に取っておくのもありですよ〉って言われて。でも、お祖父ちゃんと撮った写真が全然なかったので。つい最近、お祖母ちゃんと同居を始めて。お祖母ちゃんに写真を見せたら、なんにも言わないのに〈これ、お祖父ちゃんでしょ。顔の形もそっくりだし〉って。お祖父ちゃんは動けないから洋服を着ることができなくて、羽織ものだけで胸元が出てたんですよ。写真もそうだったから、〈これお祖父ちゃんだよ〉って。だからお祖父ちゃんも見守ってくれてるし、がんばりたいなって思います」

――〈私が結果出さなきゃ!〉みたいな思いが強いのは、そういう事情もあったんですね……。

Nao☆「そうですね、お祖母ちゃんもすごい喜んでくれてて。長野の従姉妹とか、お祖父ちゃんお祖母ちゃんもすごい応援してくれてるんで、ホントにここで終われないなって。最近Negiccoが大きくなってくるごとに、なおさら強く思います」

――もともとこの活動を始めたときから、それぐらいの決意はあったんですか? 最初はもっと軽い気持ちでスクールに入った?

Nao☆「……その頃、両親が別居したんですよ。それで母が精神的に落ちてダメになっちゃって、そのときにちょうど〈新潟子供ミュージカル〉っていうのがあって、それを〈受けてみない?〉って言われて。始めたきっかけは、母が落ちてたから、母を笑わせてあげたいなと思って始めたんです」

――スタートから、そんな感じだったんですか!


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掲載: 2012年02月08日 18:04

更新: 2012年02月08日 18:04

インタヴュー/吉田豪 撮影/成清徹也