INTERVIEW(3)――「ネギは好きですか?」「嫌いです!」
「ネギは好きですか?」「嫌いです!」
Nao☆「で、受けたらダンスとヴォーカルと演技があって、私は演技クラスになって。それでみんなで劇を作っていく楽しさとかがわかって、ミュージカルって終わったあとすごい感動するんですよ。ずっと何か月もみんなで一生懸命やってきたものをみんなで成功させるっていう。それで、母の笑顔も見られるし。そのときは無事に終わって、1年後ぐらいに子供ミュージカルを主催したところの学校ができるので、入りませんかっていう誘いが来て。母ももっと喜んでくれると思うから、やってみようかなと思って。それで受かって、ぽんちゃ(*)と出会ったんです」
*Meguの愛称。ポンポン跳ねていることから学校で付けられたあだ名の〈ぽんちゃん〉から〈ぽんちゃ〉に発展したもの
――アップル・リトル・パフォーマーズの1期生として出会い。
Nao☆「すごいんですよ、ぽんちゃとの出会いが刺激的すぎて。私、ぽんちゃのことしか覚えてないんですよ、最初。私、ヒステリック ミニ好きだったんですよ。ぽんちゃもヒステリック ミニ好きで着てて。こっちはヒヤヒヤものでドキドキしながら行ってるのに、ひとりだけ元気な女の子が〈おはようございまーす!〉って、なんのためらいもなく挨拶してきた子がいて。〈なんだ、この子は! こんな子、絶対ほかにいない!〉みたいな感じで。同じブランド着てるし、なんか縁を感じるな、みたいな。それからずっとスクール1期生で、どんなときもいっしょにいて。ミュージカルが始まったら毎日いっしょにマクドナルドに行って、ゲームやって帰る、みたいな。けっこう悪い小学生だったなって感じなんですけど(笑)」
――そんな活動をしてるうちにNegiccoの話が出てくるんですか?
Nao☆「その3年後です。ミュージカルやったのが小学校6年生だったので。中学3年生のときにNegiccoのオーディションがあるよって言われて」
――最初は嫌だったんですよね。ネギは嫌いだし、カッコ悪い名前だし。
Nao☆「もう嫌でした(笑)。誰が受けるかって言ってたんですよ、〈絶対受けないから!〉って」
――〈「私はもっとカッコいい方向に行くんだから!〉って。
Nao☆「そうです、モーニング娘。さんが流行ってるのに、なんでこんなのにって。で、(小川)麻琴ちゃんが受かってたから、なおさらプレッシャー感じてて。麻琴ちゃんがモーニング娘。っていうカッコいいところに飛躍してるのに、なんで自分はネギなの?って感じで。こんなオーディション受けるわけないじゃんって思ってたら、母が勝手に応募用紙を出してて、適当にあった曲を持っていって、それでオーディションを受けることになって。ミュージカルとかではセリフが飛んだりとかもあったんですけど、初めて頭の中が真っ白になって歌えなくなったんですよ。その時点で、〈受かりたくはないけど、落ちるだろうな。やった!〉っていう気持ちでいたんですよ。そのあと面接があって、〈ネギは好きですか?〉って訊かれて、みんな必死じゃないですか。芸能界に入りたいし」
――普通、〈大好きです!〉って言いますよね。
Nao☆「みんな〈大好きです!〉ってアピールしてたんですけど、私は〈嫌いです!〉って」
――〈興味ないです。臭いし〉みたいな(笑)。
Nao☆「〈嫌いだから〉みたいな感じで言ったんですよ。これでもう完璧に落ちるだろうなと思ってて。その何週間かあとに、母が〈そういえばあのNegiccoってヤツのオーディションの結果来ないね、落ちたんじゃない?〉とか言ってたんですよ。そしたらその数分後にメールが来て、〈ナオさん受かりました。メンバーはMikuちゃん、Meguちゃん、Kaedeちゃんです〉みたいな感じで。MikuちゃんもMeguちゃんも仲よかったし。その時点ですごい縁ですよね。でも、Kaedeちゃんって誰だろうって思って。母と〈Kaedeちゃんってミュージカルで鳥の役やってたツインテールの可愛い子だよね?〉とか言ってて」
――それで、Negiccoって名前は嫌だけどやってみようっていう気になったわけですか?
Nao☆「あれだけ嫌だって言ってたんですけど、受かったら気持ちよくなっちゃって(笑)。受かったからがんばろうってことになって、じゃあこのまま小嶋屋(*)の蕎麦食べに行こうって。お祝いしに行ったんですよ。そういう感じです」
*〈へぎそば〉を考案した大正時代創業の老舗そば店。現在は複数の企業に分派している。
――ネギが嫌いなのに、ネギを背負っていくのはしんどくなかったですか?
Nao☆「しんどくて。やっぱりNegiccoだからネギを持って売る仕事とかあるじゃないですか」
――ネギ食べる仕事とか。
Nao☆「はい。ネギ食べる仕事なんか、せっかくTVのオファーが来て、ロケだって喜んでたのに、ネギ料理を食べて、生放送でネギを吐き出して、それでTVのオファーが来なくなっちゃって……」
――いい話ですよね。がんばって食べたら、やっぱり無理だったっていう(笑)。
Nao☆「目の前にいろんなネギ料理があって、それをみんなで食べるっていうコーナーだったんですけど、その料理の上に自分の口からネギを撒き散らしちゃって……。作った方もすごい怒った顔してて、みんなも苦笑いで」
――しょうがないですよね、嫌いなんだから。
Nao☆「でも、いまは薬味としてネギは好きなので。やっぱりファンの方とか、〈ネギ嫌いなんですけど、どうすればいいんですか? Negicco好きだからネギ好きになりたいんですけど〉って言う方が多いんですけど、〈大人になれば好きになるから、いまは無理に好きになることないですよ〉って言ってて。ちっちゃい子は〈Negiccoが好きだから食べる〉っていう子がいっぱいいてくれるみたいで、それはすごく嬉しいなと思います」
――Negiccoの紆余曲折は、そうやってTVの仕事がいきなりなくなるのもそうですけど、結成当初から相当あったわけじゃないですか。スクール消滅を筆頭に。
Nao☆「ああ、波だらけです。まず期間限定っていうところで、ここまで続くと思ってなくて」
――もともと1か月限定のはずが。
Nao☆「まずは活動期間が延長になって。でも、スクールが廃校になるっていう時点で、知名度がないから終わりかなって思ってたんですけど、なんとなく終わる気配はしてなくて。そしたらいまのマネージャーが拾ってくれて。ただ、私たちがもともとスクールに入ってがんばってるのは、東京っていう大きな舞台をめざして芸能活動したいっていう気持ちが第一だったので、Negiccoが地域のロコドル、ローカルアイドルってレッテルを貼られた時点で、私はもうローカルから出て行けないのかなって。そういう不安と闘ってました」
- 前の記事: INTERVIEW(2)――母を笑わせたくて
- 次の記事: INTERVIEW(4)――言い返さないと気が済まなくて