INTERVIEW(2)――どこかで誰かが見ててくれるかもしれない
どこかで誰かが見ててくれるかもしれない
――Nao☆さんみたいな完璧主義な人だと、活動していくとモヤモヤすることも多いですよね。もっとこうしたいのに、みたいな。
Nao☆「常に多いですね」
――当然、自分の意見がすべて通るわけじゃないし。
Nao☆「はい。何を作るのにも、誰かに任せっきりだと不安だったりするし、自分たちでずっと歩んできたからこそ、〈はいっ、はいっ、はいっ〉て言ってる作られたアイドルは嫌いで、そうはなりたくなくて。自分の意思をちゃんと言えるアイドルになりたいなって思えるきっかけをくれたのがAAAさんで。それぐらいAAAからは衝撃を受けて。私が最初振付してたんですけど、作れなくなってから、みんなもAAAさんのダンスを参考にしたり(笑)。でも、自分でプロデュースするのはすごい好きですね」
――そうやって自分たちで歩んでいくなかで、地方アイドル決定戦で勝ち抜き、さんまさんの番組に出て、手応えはちょっとずつ出てくるわけですよね。
Nao☆「そうですね、地方アイドル決定戦は、〈何? いまごろ、地方アイドル決定戦って?〉っていう感じで」
――キャリアが全然違いますもんね。
Nao☆「いや、でも自信なかったので……」
――あ、やっぱり(笑)。
Nao☆「でもいちばん最初に第一候補だかに選んでいただいて、決勝戦で闘う、みたいな感じになって。りんご娘(*)さんとかと東京のTVに呼ばれて出て全カットされて、みんなで最後に手を振ってるところしか映ってなかったことがあったので、りんご娘さんには愛着があったりして、〈無様なことをさせられたから、お互いがんばろうね〉って」
*2000年に〈りんご娘.〉として青森で結成され、2005年に全国デビューしたローカルアイドルの草分け。メンバー交替を繰り返し、2010年より現在のグループ名で活動中。
――ダハハハハ! そういう気持ちのわかる者同士として。
Nao☆「はい、〈お互い悔しい思いをしたんだからがんばろう〉と思いましたけどね」
――ただ、『からくり』ではりんご娘がプッシュされる流れになって(*)。
*『さんまのSUPERからくりTV』における〈芸能人かえうた王新人戦〉でNegiccoを破って優勝し、〈りんご娘の全国ご当地アイドル日本一への道〉というコーナーが設けられた。
Nao☆「そうですね。あれはあれでまたヘコみますけど……。自分たちに魅力がないのかなって……。でも、だんだんいろんな方にNegiccoの音楽性を見ていただけるようになってから、自分たちはこの方向性で、方言がなくてもいいんだなと思って。『からくりTV』は、そこまでは前より気にならなくなりましたね、いまは」
――最近はNegiccoの活動が順調っていうのもありますからね。いまもチャンスが次々となくなっていくような状況だったら大変でしょうけど。
Nao☆「〈もうっ!〉てなってたと思うんですけど、いまはすごい楽しいです。でも、U.M.Uに受かる前から嶺脇社長がイヴェントに来てくださったりしてたじゃないですか」
――あの人は、ただのヲタですからね(笑)。
Nao☆「だから、すごいなって。ロコドルから大きい舞台に上がることはできるんだろうかってずっと考えてたんです」
――Perfumeという前例があるとはいえ。
Nao☆「はい。だからさっきの話じゃないですけど、お金があっても売れるわけじゃないなら、情の付き合いがあったらいいねってみんなで言ってたんですよ。〈お金を出すからやってください〉じゃなくて、〈あなたたちのためになんかやってあげたい〉って。その関係は作ろうと思って作れるものじゃないけど、そういう人たちになれたらいいね、そう思ってもらえる人たちになれたらいいねって言ってて。だから、どんな小さなイヴェントでも、地元でも、〈まつり湯〉さんとかでも、どこかで誰かが見ててくれるかもしれないっていうのを常に信じてやってきて。そしたら、まさか温泉のイヴェントで、そんなすごい方が来てるとは思ってなかったので。〈まつり湯〉さんのステージは、演歌歌手の方や漫才の方がやられるところなので、私たちみたいに爆音でやるような音響の感じじゃないんですけど、それが逆にアットホームな感じで楽しめたりしてて。だからすごくいいイヴェントで。音響が出なくなっても、何クソ根性でがんばらなきゃいけないなって」
――音響トラブルは、しょっちゅうありますからね。
Nao☆「それで漫才始めたりして(笑)」
――でも実際、Negiccoは情で付き合う人をすごい作ってると思いますよ。
Nao☆「……ホントですか?」
――それは、うまいこといってると思いますよ。
Nao☆「……ホントですか?」
――……という発言すらも信じられないぐらいに、Negiccoはみなさんまったく自信がないわけじゃないですか。何か自分に自信があることはありますか?
Nao☆「自分で自分に……落ち込みやすいから、可愛くなくても〈自分は可愛い、自分は可愛い〉って鏡を見て言わなきゃいけないんです(笑)」
――ダハハハハ! 自己暗示しなきゃいけないんですか!
Nao☆「そうしなきゃいけないのかなって。〈自分は可愛い〉って言ってあげてなきゃダメだよって誰かに言われたので」
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