インタビュー

cro-magnon 『THE BEST』



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[ interview ]

ディスコ・ダブ~コズミックなクロスオーヴァー路線でスタートしながら、より幅広い音楽性を突き進んでいたcro-magnonが突然の解散を発表したのは2011年5月のことだった。各メディアで報道されたその理由については触れないでおくが、2004年の結成以来、スリリングなサウンドで国外にもその名を轟かせてきた彼らの解散は大きな衝撃をもって受け止められた。

その後、大竹重寿(ドラムス/パーカッション)と金子巧(キーボード)はREBEL7として活動を開始。当初は沈黙していたコスガツヨシ(ギター/ベース/サンプラー)も徐々に動きを見せはじめ、やがてREBEL7に合流。そして、待ちに待ったcro-magnonの再結成となった。

今回リリースされる『THE BEST』は結成以来の彼らの歩みを収めた初のベスト・アルバム。早くも次のステップに向けて歩みを進めている3人に話を訊いた。



単なるループ・ミュージックからの脱却



――このインタヴュー、どこまで訊いていいんですか?

コスガ「ざっくばらんに訊いてもらってOKですよ」

――了解です。まず……解散が発表されたのが昨年の5月2日だったわけですが、REBEL7を始めたのは?

大竹「5月末には2人でやってたと思う。オレ、毎日酒を呑まないとやってられないぐらい荒れちゃってたし、しかも原発は爆発するし……。でも、ウジウジしててもしょうがないし、生活するためには何かやらないとダメだから」

金子「それと同時にシゲ(大竹)はひこうき雲(らぞくの越野竜太とのユニット)を始めてたし、僕もいくつかのセッションに呼んでもらったり、個々の活動も並行してやってましたね。そういう活動は今後のcro-magnonにとってもいい影響になると思うんですよ」

大竹「cro-magnonじゃやらないようなビートもセッションではやってきたから、〈災い転じて福となす〉じゃないけど、いままでにはない展開になってくると思う」

――ツヨシさんは〈事件〉のあと、一旦実家に帰ってたんですよね?

コスガ「そう、1回帰ってました。その間はちょこちょこエディットを作ってたぐらい。実家には20年ぶりぐらいに帰ったから、ものすごいカルチャー・ショックでしたね。猿や鹿から畑を守る毎日で(笑)。あと、京都や大阪が近いから、ソフトやロジョ・レガロとか向こうのミュージシャンといっしょにやったり。そうこうするうちに〈REBEL 7 WITH T〉っていう名前でもやるようになって……」

――その名義でいちばん最初にやったライヴって?

コスガ「なにげに(2011年の)9月ぐらいにサクッとやってるんですよね。佐藤タイジさんに呼ばれて、(麻布十番のクラブ)WAREHOUSEで」

大竹「そうそう。その次の日に新潟でもやったね」

コスガ「そのときは半分ぐらいがREBEL7の曲で、残りの半分がcro-magnonの曲だったかな」



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――久しぶりに3人でやってみて、どうでした?

大竹「あのときはまだ冷静な状態じゃなかった。ショックを引きずってたし、気持ちの整理がつかない状態だったから。再スタートという意識になれたのは本当に最近のこと。まずは生活の基盤を整えないといけなかったからね。(解散前のcro-magnonは)とにかく尋常じゃなく忙しかったし、結果としては〈お前ら、1回休んどけ〉ってことだったんじゃないかな。いまだからこそ、そう思えるんだけど」

――休んでみて気が付いたことも多かった?

コスガ「それはすごくたくさんある」

大竹「震災直後も休みなくやってたし、ああいうやり方はもうできないかな。いろいろな経験をしてきたから、今後は同じことをやるにしても地に足を着けてやっていきたいね。明日明後日で終わるバンドじゃなくて、ずっとやっていきたいと思ってるわけだから。この後の10年、どうやったら続けていけるのか、そういうことも考えるようになったし」

――なるほど。

大竹「あと、さっきも言ったけど、休止中にいろんなセッションをやってきたことがいまになって効いてきた。同じ曲をやるにしても違う意識があるし、新しい曲のなかでもこれまでにないベースラインやビートが生まれてきてるからね」

――cro-magnonは結成当初からある種のループ・ミュージックを突き詰めてきたわけですけど、今回の休憩中にそれとは違う方向性を見い出しつつある、と?

大竹「ループの考え方にしてもいろいろあると思うんだよ。例えば、メロディーはループさせておいてリズムで崩していくとか。いままでのcro-magnonにはなかったアイデアの断片を溜めてる状態かな」

コスガ「叙情的なコード進行を打ち込んでみたり、いままでやらなかったような柔軟なアプローチを試してみたり。これまでのライヴでは45分ひたすら〈踊れ~!〉って突っ走ってたわけですけど、それだけだと空しく思える瞬間も出てきたんですよ」

――へえ、そうなんですか?

コスガ「オレらはダンス・ミュージックをやってるわけだし、人を踊らせたいわけだけど、以前から〈それだけじゃない〉っていう意識もあって。その点で言えば、単なるループ・ミュージックからの脱却を試みてるのかもしれない」

大竹「振れ幅の〈幅〉の部分を広げようとしてるんだと思う。それは2、3年前から話してきたことなんだけど、その断片を増やしてるところなんだよね」

コスガ「いっしょにやりはじめた15年前に聴いていたものもあるし、(前身バンドである)Loop Junktionのときに打ち込んでいたアプローチもあるのに、現段階でそれらを全部出せているかというと、そうでもなくて。そこが悔しいんですよね」


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掲載: 2012年04月18日 18:00

更新: 2012年04月18日 18:00

インタヴュー・文/大石 始