INTERVIEW(2)――パーティーの意味が変わった
パーティーの意味が変わった
――なるほどね。あと、去年は震災もあったわけで、日本という国自体の分岐点でもありましたよね。
大竹「そうだね。オレの両親は福島の人間だし、郡山には従兄弟も住んでることもあって、世の中の不条理には頭にくることも多い。ま、みんな多かれ少なかれ同じ気持ちを抱えてるんだと思うけど、そういう感情がこれからの演奏にも出てくるんだと思うよ」
コスガ「(〈3.11〉以降で)あきらかにパーティーの意味も変わりましたからね。オレ自身の考え方も変わったし、キチンとしたものを提示しないとパーティーをやる意味もないと強く思うようになった。オレは音楽の力を信じているし、パーティーの素晴らしさも知っているから、そこでお客さんが何かを感じるものを提供することがこの時代に生まれたミュージシャンの役目だと思ってて」
――震災によっていろんな価値が引っくり返ったし、震災直後には〈音楽なんて聴く気にならない〉っていうヤツもいたけど、本当に音楽が好きなヤツは結局同じ場所に帰ってきましたよね。
大竹「そういうもんだよね。みんなが集まると結局音楽が必要になるし、そのなかでオレらがやらなきゃいけないこともあるんじゃないかな。オレらは自分のために音楽をやってきた部分もあるんだけど、人のためにやってきた部分もあるし、実際、一旦解散したってみんな待っててくれたからね。本当に嬉しいよ」
若かった時代の集合体
――そして、今回ファン待望の復活第1弾としてベスト・アルバム『THE BEST』が出るわけですが。
大竹「こういうアルバムを出すことによって今日みたいにインタヴューを受けたりするわけで、以前の生活に戻ってきてるっていう実感があるね。これからは去年出れなかったイヴェントにも出させてもらう機会もあるし、ひとつひとつクリアしてる感じ」
コスガ「まさにリヴェンジですよね」
――リリース自体はいつ頃から計画してたんですか。
コスガ「年明けぐらいからですね。本当にありがたいですよ」
大竹「レーベル側からリリースの提案があって、選曲も全部やってもらった。ま、どの曲を入れても恥ずかしくないし、そもそもオレらだと選べないから(笑)。〈Before 3.11〉というか、もうちょっとオレらが若かった時代の集合体(笑)。自分たちにとってもひとつの区切りになるだろうし、次のアルバムに向かうためにはちょうどいいタイミングだよね」
レーベル・スタッフ「全国各地に熱狂的なcro-magnonファンがいるので、そういう方々にご意見を伺いながら選んだんですよ」
――なるほど、だからライヴの定番曲が自然に選ばれていったわけですね。
コスガ「そうですね。並べたときにアルバムとしてのカラーがあっていいですよね、エナジェティックというか、アンプテンポの曲が選ばれてる」
大竹「第1期cro-magnonの総集編という感じ。ま、3人で始めてからカウントすると第5期ぐらいになってるんだけどさ(笑)」
――“Riding The Storm”のイジャット・ボーイズ・リミックスも収録されてますが、これもレーベル側からの提案だったんですか?
コスガ「いや、昔からコンラッド(・マクドネル/イジャット・ボーイズ)に言われてたんですよ、〈エディットをやらせれくれ〉って。毎回会うたびにその話をされてたから、今回頼もうと。もう〈これぞイジャット〉っていう感じの仕上がり。ライヴ感がすごくて、めちゃくちゃ格好良いですよ。」
大竹「オレらのヴァージョンよりも絶対に格好いいと思う(笑)」
- 前の記事: cro-magnon 『THE BEST』
- 次の記事: INTERVIEW(3)――日々のなかで心に残った音のスケッチ