インタビュー

INTERVIEW(3)――思ったことをそのまま歌った



思ったことをそのまま歌った



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――僕はもう、“今を生きる”のサビがずっと頭に残って離れないんですけどね。このサビは強烈ですね。

ワタル「強烈です。街頭で流れて、一発で覚えられるように作ったんで。イントロからの流れもそうなんだけど、とにかく、いきなりわかる。何を言ってるのか、バッチリわかる。〈エブリデイ、エブリナイト〉って叫んで、〈明るい未来になるといいな〉って言ってるだけですからね。自分が生きてるということを、ちゃんとわかっておくこと。震災が起きたから、命はいつまでもあるものじゃないし、明日死ぬかもしれないということをちょっとだけ考えれば、悔いの残るような生き方はできないと思うし、いま、この瞬間をがんばって生きないと幸せは来ないので。それを意識的にやるのかやらないのか、そういう考え方をわかってほしいというコンセプトなんですよね。自分がいま生きてるのはどういうことなのか?って」

――じゃあもう、言いたいことがはっきりしていたから、今回の歌詞は全然悩まずに書けた?

ワタル「うん、特に“今を生きる”“カタルシス”“これからここから”、そのへんはわりとシンプルに、思ったことをそのまま歌った感じなので。恥ずかしいとか、そんなんどうでもいいわって感じで、とにかく伝えたいから、〈オレたち、やるんだぞ〉っていうところだから。〈日本、何しとんねん〉って」

――“カタルシス”も大事な曲ですね。アルバム・タイトルにも繋がる曲ですけど。

ワタル「“カタルシス”は完全にオレの一人称なんで、頭にくることも、鬱陶しいことも、オレ駄目だなと思うこともあるという、モヤモヤを一気に出す作業だった。だから歌う時に、歌詞が覚えやすい覚えやすい」

ヤス「(笑)」

――思ったまんまだから

ワタル「そう。いきなり〈最低 最高 正解 間違い/どうにでもなるよ〉と言ってるのは、人の考え方次第だということ。最低が良かったりするし、最高がつまんなかったりもするし、人ってそんなもんだし、特に音楽なんて、ロックなんてそんなもんだし。考え方次第でいろんなものが変わっていくと思うし、〈うるせえ、黙れよ〉と思う瞬間もあるけど、それを暴力的に言っちゃうと暗くなるし、しこりが残っちゃうし、いまはそういう時代じゃないから。去年は特に、そんなこと言うのが嫌だったから。大事だと思っていたのは、被災された方々は、徐々にサポートがなくなっていくし、結局は一人になっちゃうんですよね。自分を支えるのは自分しかない。その時に大事なのはモチベーションで、そこで欝になったりとか、やる気が起きないとか、そういうことになるといちばんイカンので、たとえ一人だろうがちゃんと足を進めていこうぜ、と。で、そのためには気持ちをちゃんと健全に保っておくということだと思うので。〈うるせえよ だまれよ〉って、暴力的なことを言ってる歌詞のようだけど、伝えたいのは逆のことなんですよね」

――ああ。なるほど。

ワタル「吐き出すことによってスカッとする、ということ。だからフォーマットがポップなんですよ、“カタルシス”は。これを暗い曲にしちゃうと、本当に暗い曲になるんで。自分の嫌なところを吐き出して気持ちよくなってるだけじゃん?って。それをあえて意識的にポップにしちゃうのが、最新型ですよ」

ヤス「最新型ね(笑)」

ワタル「いま、日本人があるべき姿ですよ。構成にしてもリズムにしても、とんでもねぇもの作っちゃったな、という感じはあるよね。あんまり物事をちゃんと考えない人には、最初はわかんないと思うけど、何回か聴いたらわかると思う。この曲の良さ、おもしろさが」


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掲載: 2012年05月09日 18:00

更新: 2012年05月09日 18:00

インタヴュー・文/宮本英夫