インタビュー

INTERVIEW(4)――人間一人一人が精神的に健全であること



人間一人一人が精神的に健全であること



――アレンジについて、もう一点だけ。“ブライテンA”という曲に田中ユウスケさんが参加してますよね。これは?

ワタル「アレンジャーさんを入れたのは初めてですね。ウチらのやり方をちょっと変えようと思って、この曲は明るくていい感じだからお願いしようよ、と。田中さんは“ヘビーローテーション”(AKB48の2010年のシングル)をアレンジした方ですからね。オレもビックリしたもん。〈いちばん売れとるやつじゃないですか。そりゃすげえ〉って(笑)。でも年が近くて、彼もロック大好きで、マイブラの話とかずっとしてたよね。彼がやってるQ;indiviとか、めっちゃ良いよね」

――こういう鍵盤系の音が入るのも、新鮮でしたね。

ワタル「入れたいんですよ。時代的にも、フォスター・ザ・ピープルとか大好きだし、ヴァンパイア・ウィークエンドも大好きだから、入れたかったりもするんだけど、弾ける人がいないので(笑)。そこらへんをどうしようかなって、次に向けて考えるのが楽しいですけどね。今回はそのきっかけとして最適なアルバムというか、アレンジャーさんを入れることですごい勉強になったし、曲に対する視点の変え方を学ばせてもらったというのかな。ただギター・バンドだし、ギターが好きだから、ギターでどこまでできるのか?という気持ちは常にありますけどね」

――そしてアルバムのタイトル『KATHARSIVILIZATION』は、〈カタルシス〉と……。

ワタル「〈シヴィリゼーション〉を合体させた造語です。内にあるモヤモヤを吐き出してスッキリする、というのが〈カタルシス〉。〈シヴィリゼーション〉は〈文明〉。文明はいま、ネットの氾濫とか、進むべきところがよくわかんなかったりするじゃないですか。普通に会う人もいれば会わない人もいて、全然違うところに仲の良い人がいたり、あっちでは盛り上がってるけどこっちでは醒めてるとか。あと全部がパッとわかってしまって、正しいことって何なんだ?と。本当にカッコ良いものはどこにあるのか?とか、わかんなくなったりするけど、そうなると〈やっぱり人間じゃねえのか?〉と。個人が良いと思えばそれでいいと思う、というか、政治もアテになんないし、人間一人一人が精神的に健全であることがいいんじゃないかな?と。良い子ちゃんになれということじゃなくて、ちょっとでもいいから前に進もうよという、そういうモチベーションの持ち方が大切だと思うので」

――もう、完全にDOESというか、ワタルさんとリスナーの1対1で歌ってますね。このアルバムは。

ワタル「うん。総体に対して歌ってるんだけど、総体を辿っていくと個人になるから。ただ単純にガンバレとかじゃなくて、〈オレはこう思う、こうやって生きてる〉というものを見せ付けるほうが、説得力があると思うんですよ。とにかく口に出すというか、〈よし、やるぞ〉って言ってスッキリして、そこから始めようということですね」


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掲載: 2012年05月09日 18:00

更新: 2012年05月09日 18:00

インタヴュー・文/宮本英夫