INTERVIEW(2)——ここまで噛み砕いて個性は残るのか?
ここまで噛み砕いて個性は残るのか?
――では歌詞について、田淵くん。〈流星〉というワードが、久々にタイトルに来ましたね。“流星前夜”以来かな。
田淵「あー、そうかもしれない。やっぱり自分が誇れるものというか、音楽の楽しさとしてわかってもらいたいもののなかの一つとして〈言語感覚〉というものがすごく強くあるので、メロディーに乗って出てきたものはなるべく大事にしたいなとは思っていて。〈同じ単語だな〉とか一瞬思ったりはしたんだけど、音への乗りがすごく良かったので、これはもう思い切って使おうと思って……使わせていただきました(笑)」
――いや、自分の言葉だから、何回でも使っていいと思う。
田淵「いやー、あんまり乱発したら、こいつは引き出しないんじゃないか?と思われるから(笑)」
――こういう自然や、宇宙や、空のイメージのワードって、田渕くんの特長でしょう。天井がない広い感じというか。
田淵「確かに。スケールの大きい言葉は好きですね」
――勝手に解釈しちゃうけど、ライヴ・ソングだなと思ったんですよ。〈今夜、流星の指す方へ〉というのは、日本中のいろんな街のことで、〈明日になったらもう会えないから、今に賭ける〉というのは、一期一会のライヴのことで、〈君に届け〉というのは、ユニゾンの音楽のことじゃないかな?って。
斎藤「ああ、なるほど」
田淵「正解だと思います」
――え(笑)? いや、別に正解じゃなくてもいいんだけど。なんか、ユニゾンがやってくるのを地方でずっと待ってるファンには、すごく響く歌詞だなぁとか思ったので。ライヴのイメージが、どこかにあって書いたわけではない?
田淵「明確な人間観とか、メッセージとして書こうと思った詞ではないですね。単純に物語として書こうと思ったものなので」
斎藤「僕も全然想像してなかったです。でもいまの話を聞いて、それを思いながら歌うとまた新しい発見があるかなって、ちょっと思ったんですけど」
田淵「それでいこう」
――いや別に、それでいかなくてもいい(笑)。ただ、そんなふうに想像したくなる歌詞だなぁと思ったので、ちょっと言ってみました。
田淵「いや、やっぱり、人それぞれの解釈があるのはすごく嬉しいです。この詞は、ここまで噛み砕いて果たして個性は残るのか?という、自分のなかでもギリギリの挑戦ではあったので。それでもなお、読み込んだ時に自分なりの解釈を答えとして出してもらえるのは、僕のなかではミュージシャン冥利に尽きるというか、いちばん幸せな瞬間というか。いろんな解釈の可能性があるというのは、すごく嬉しいですね」