UNISON SQUARE GARDEN “流星のスコール”
いまこの時代に、ロック・バンドは何を歌うのか?
通信デバイスの機能向上に伴う情報とコンテンツの膨大化によって、音楽をはじめ、あらゆるポップ・カルチャーは華やかで目を惹くわかりやすいものが人気を博し、それらが入れ替わるサイクルは加速する一方。そんな刹那的な時代に、ロック・バンドは何を歌うのか?
UNISON SQUARE GARDENは、そんな〈時代〉に対して意識的なバンドであると、このニュー・シングルで改めて感じた。表題曲”流星のスコール”は、先のアルバム『Populus Populus』で聴かせたような音数の多いサウンドを志向している。ギターのオーヴァー・ダブやピアノ、タンバリンなどを採り入れつつ、詞で描かれる情景や心情の変化に合わせてアレンジの振り幅を広げていくことでサウンドに煌めきとドラマ性を持たせた、バンドとしての新境地だ。
カップリングの”さよならサマータイムマシン”では、ライヴ・バンドでもある彼らの本分、つまり3ピースによる研ぎ澄まされたアンサンブルを展開。バンドのトレードマークでもある斎藤宏介のハイトーン・ヴォイス、ギターの独特なコード・ワーク(フュージョンにも通じると思う)や、シンコペーションを駆使したダイナミックなリズムが存分に披露されている。
そしてもう1曲、先のツアーで初披露され、各地のオーディエンスにポジティヴなメッセージを手渡してきた“誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと”が音源化。これら3曲に彼らの最新型を凝縮した、コンセプト性の高い作品だ。
かつて彼らは“シュプレヒコール~世界が終わる前に~”という曲で、古き良き時代のロックンローラーに憧れながらも〈今世紀には今世紀のやり方がある〉と歌っていた。〈いま音楽を鳴らすこと〉に自覚的なそのスタンスは、もちろんサウンドだけでなく詞にも通底する。このシングルに散りばめられた、寓意に富んだフレーズ。彼らはそれを通して、聴き手に問いを投げ掛ける。そのテーマをあえて言葉にするなら、〈世界の見え方をどう変えていけるか?〉――音楽という手段を通して、彼らはそんな命題を追究し続けている。