インタビュー

WONDER GIRLS 『Nobody For Everybody』

 

満を持してという表現がぴったりだろう、韓国の人気グループがとうとう日本上陸! USでの活動も糧にしてさらに逞しくなったそのパフォーマンスやサウンドは要注目です!!

 

 

もうどこでやっても大丈夫

ざっくり言えば、邦楽/洋楽/K-Popみたいな枠がすっかり出来上がった感のある日本の音楽市場。そうしたなか、韓国のガールズ・グループ、WONDER GIRLSがついに日本へ進出する。彼女たちは、写真左からイェウン、ユビン、ソヒ、ソネ、ヘリムから成る5人組。本国にてシングル『The Wonder Begins』でデビューしたのは2007年。つまり少女時代やKARAとは同期であり、所属するプロダクション=JYPエンターテインメントでは2PM、2AMの先輩にあたる。そんなWONDER GIRLSの名前を世に知らしめたのは、同年に発表された“Tell Me”。K-Popの特徴と言われる、印象的なサビがループする〈フック・ソング〉はこの曲がきっかけとなった。そして彼女たちはこの年の各音楽賞で新人賞3冠を獲得。まさに、韓国における現在のガールズ・グループ人気の火付け役となった。

「“Tell Me”が大ヒットした時はすごく嬉しかったです。ただ、当時はスケジュールが忙しくて実感がなかったんですよね。でもライヴを重ねていくごとに、いっしょに歌ってくれる人も増えて人気を実感していきました」(ソネ)。

「“Tell Me”がきっかけでガールズ・グループの人気が高まったと言ってくださることはとても光栄です。そういう時代にWONDER GIRLSがいること自体嬉しいですね。いま国内外でいろんなグループが人気を得ていますが、同じガールズ・グループとして素直に嬉しく思います」(イェウン)。

その後も彼女たちはヒットを連発。〈レトロ〉をコンセプトに、過去の各年代をイメージした作風も独特だった。80年代の“Tell me”、70年代の“So Hot”、60年代の“Nobody”と、それぞれでサウンドやヴィジュアルをチェンジさせていったのだ。

「すごく楽しかったです。私たちの世代が知らないサウンドやスタイルだったので、やっていくことで勉強にもなりました。リスナーも、若い女の子がいまはないコンセプトでパフォーマンスするのが新鮮だったんじゃないかなって。それですごく愛されたんだと思います」(ソヒ)。

韓国で人気爆発中だったWONDER GIRLSが、2009年に突如アメリカを拠点として活動を始めたのも驚きだった。層の分厚いUSエンターテイメント・シーンに飛び込んで活躍するのは、容易じゃないことは簡単に想像がつく。

「いちばん大変だったのはやっぱり英語ですね。インタヴューもステージでも英語で喋るのは大変でした。でも、韓国でもっとも忙しい時にアメリカへ渡ったので、ある意味このグループを深く考える時間にもなったので良かったと思います」(ソヒ)。

「ジョナス・ブラザーズとツアーをいっしょに回れたり、ジャスティン・ビーバーのライヴに出たり、アメリカのショウと直に接することができていろいろ勉強になったと思います。私たちの歌やパフォーマンスの成長にすごく繋がったと思います」(イェウン)。

異国での生活は大変なこともあったと思うが、何というポジティヴな心持ち。アメリカでの経験が、彼女たちをよりタフにしたのは間違いないようだ。

「いろんな場所で活動してきたので、その土地の言語、文化についての恐れがなくなりました。もう、どこでやっても大丈夫です(笑)。それが、WONDER GIRLSならではの強みだと思いますね」(ソネ)。

 

日本語だとまた違った感覚で歌える

実力に磨きをかけまくったタイミングで、日本の音楽シーンに登場というわけだ。ここで改めて、各メンバーの音楽的なルーツを訊いてみよう。

「小さい頃はおばあちゃんといっしょに住んでたので、トロット(韓国の演歌)や童謡をよく聴いてたんです。練習生になってからホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリーとか、ブラック・ミュージックを聴きはじめました」(ソネ)。

「私はマライア・キャリーやホイットニー・ヒューストン、ローリン・ヒルが好きですね」(イェウン)。

「中学の時はU2やMr.Childrenとか、バンドの曲をよく聴いてました。WONDER GIRLSではラップ担当なんですが、ラップ自体は練習生になってから練習しはじめて、どんどん魅力にハマりましたね」(ユビン)。

「お父さんが音楽好きで、よく隣で聴いてたんです。個人的に好きな音楽も、お父さん世代のポップソング。クール&ザ・ギャングやデュラン・デュラン、あとは韓国のフォーク・ソングとかが好きですね」(ソヒ)。

「最初に影響を受けたのはクリスティーナ・アギレラ。なぜかというと英語の名前が私と同じなんです。そこからポップスを聴くようになりました。そのうちBoAさんが韓国と日本で活躍するようになって、カッコ良くてすごく好きになりましたね」(ヘリム)。

さて、今回リリースされるジャパン・プレミアム・アルバム『Nobody For Everybody』のリード曲は、韓国で大ヒットした“Nobody”の日本語ヴァージョン。愛する人を強く思う女心を切なく力強いメロディーで歌った、彼女たちの代表曲である。

「最初にこの曲を聴いた時は〈早く歌いたい!〉って思いました(笑)。どこか惹きつけられるパワーのある曲だと感じたんです」(ソネ)。

「韓国で多くの人に愛されたこの曲を、日本の皆さんに届けるために日本語で歌うのは、私たちの新しい挑戦でしたね」(イェウン)。

「これまで韓国語と英語で歌ってきたんですが、日本語ヴァージョンでは切なくて可愛い雰囲気になったのが新鮮でした」(ヘリム)。

「日本語が持っている独自の表現は、全体的に可愛い感じに仕上がるんですよ」(ソヒ)。

「初めての日本語曲だったので、特に発音とイントネーションに気を遣ってレコーディングしたんです。この曲がまた違った感覚で歌えるんだって思えたのは、新しい発見でした」(ユビン)。

歌もダンスも世界基準のWONDER GIRLS。今後、日本での活動を積極的に行うというから楽しみじゃないか。

「個人的には、京都や神戸に行ってみたいです(笑)。あと、ぜひ日本で単独コンサートをやりたいですね」(ソヒ)。

「私たちは音楽やアニメとか日本のカルチャーが大好きなんです。日本は近い国だし、ここで活動できるというのはホントに嬉しいです。私たちの音楽で日本の皆さんにいいエネルギーを届けられればと思ってます」(ソネ)。

 

▼WONDER GIRLSの日本デビュー・ミニ・アルバム『Nobody For Everybody』(DefSTAR)。

左から、CD+DVDの初回盤A、初回盤B、CDのみの通常盤

 

カテゴリ : インタビューファイル | タグ : K-POP

掲載: 2012年07月18日 15:00

更新: 2012年07月18日 15:00

ソース: bounce 346号(2012年7月25日発行)

インタヴュー・文/土屋恵介