後藤まりこバンドの頼もしすぎるメンバーたち
昔から後藤まりこはセンスと力量のあるミュージシャンを自然と惹きつける何かを持っている。ミドリでは無名でも自分より遥かにキャリアのある実力派、畑違いの曲者を積極的に引き込んだ。そして今度もひと筋縄でいかない強者たちをズラリと揃えた格好だ。
例えばバンマス的な存在のAxSxE。BOaTからNATSUMENへと活動の場を移しながら、木村カエラなど多くのアーティストをプロデュース、楽曲提供もするなど引っ張りだこのギタリストだ。さらに、ウリチパン郡での活動も記憶に新しい千住宗臣もいまもっとも洗練されたビートを叩ける優れたドラマー。BOREDOMS、山本精一、菊地成孔率いるDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENなどのライヴや作品を中心に引く手数多の活躍を見せている。ベーシストにはdownyのメンバーでfresh!やKARENでも持ち前のグルーヴ感を見せた仲俣和宏を起用。キーボードにはキャリアたっぷりの渡辺シュンスケを迎え、みずからSchroeder-Headzとしても活動しつつもCHEMISTRYからカーネーションまでさまざまな現場で仕事をしてきた経験を反映させている。
今回のソロで後藤が用意したアイドル並みのポップな曲に、この一聴するとただアグレッシヴな、でもしなやかで知的でさえある鉄壁のアンサンブルが曲にイビツな動きを与えた意味の大きさは計り知れない。後藤はビョークやマドンナにも似た自己プロデュース能力のあるアーティストなのだろう。
▼関連作品を紹介。
左から、NATSUMENの2008年作『Endless Summer Record』(BLITZ・PIA)、ウリチパン郡の2009年作『せん』(OKIMI)、KARENの2009年作『sun day girl in silence』(DAIZAWA)、Schroeder-Headzの2011年作『PIANO a la carte feat.Schroeder-Headz』(プランクトン)
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