インタビュー

Plastic Tree “シオン”



Plastic Tree



[ interview ]

メジャー・デビューから15周年のアニヴァーサリー・イヤーも後半に突入したPlastic Treeより、第3弾シングル“シオン”が届けられた。どこまでも柔らかなギター・サウンドのなかで響き渡る、シンプルな歌——そこに投影されたテーマは、タイトル〈紫苑〉の花言葉が示すままに〈追憶〉だ。

15年前の楽曲を〈Rebuild〉するという方法を含め、これまでのバンドの道程を見つめ直してきた日々のなかで、今回の新曲は〈追憶がいまの自分を作っているすべて〉だと思える楽曲になったと有村竜太朗(ヴォーカル/ギター)は語る。今回は、初のソロ・インタヴューで本作の背景にある思いをたっぷりと訊いた。



単独の世界観を見せたかった曲



――今回の新曲“シオン”は弾き語り版も収録されていますが、軸となるフォーキーな歌と、その歌を際立たせる柔らかな音像が印象的な楽曲ですね。

「そうですね。作ったときのイメージがもう、基本的にギターと歌だけで成立しちゃうような楽曲だったんで」

――そうすると、弾き語りしているうちに出来ていった曲?

「曲自体を作ったのはかなり前なんで、いつ頃だったか覚えてないんですけど、でもギターから作ったと思うんですよ。たぶん3年以上前ですね、出来たのは。歌詞は全然なかったですけど、メロディーとかはその頃からありました」

――それほど前からあった曲を、このタイミングでシングル曲に持ってきた理由は?

「これまで何回もシングル曲の候補には挙がってた曲で。曲が生まれて少し経ってから〈なんか、いいよね〉って話になって……でも当時は俺が曲を作り切れなくて、〈今回は外してください〉って言ったり……あと曲としてはやっと完成したんだけど、いまは出すタイミングじゃないかな、って思ったり。この曲は、自分的にはアルバムのなかの1曲にはしたくなくて。PVとかジャケットとか、単独の世界観で見せたいなっていう曲でもあったので、そういうときがくればって思ってましたね」

――ということは、デモの段階で竜太朗さんのなかではある程度の世界観が見えていた?

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有村竜太朗


「そうですね。デモのときにだいたい見えてましたし、そのあとバンドで仕上げていきましょうってなってからのプリプロも、他の曲に比べて結構何回もやったんですよね。でもそのときはなんかしっくりこなくて、もっと別の機会にやりましょうってことになって。で、次のときは自分でもアイデアを持ってったし、他のメンバーからのアイデアもあったし、丁寧に作ってましたね。ハマるまで」

――今回盛り込まれたメンバーの皆さんのアイデアは、具体的にどういうところですか?

「難しい質問(笑)。(ギターのナカヤマ)アキラはフレーズじゃないですかね。フレーズとストロークの組み方、あとは音色。俺はホントにフォークなギターを弾くので、そこがしっくりこないといろいろ手を変え品を変えでやっていくんですよね。(長谷川)正くんは、ベースのフレーズと曲の全容を固めるのにアイデアを出してくれて。歌が結構シンプルな曲だったんで、それをバンドらしくしたのはベースだし、ドラムは……俺、頭のなかでドラムだけはいつも漠然としてるんですよ。その漠然としてるものを、(佐藤)ケンケンが具体的にしてくれたって感じですかね。俺個人で終わりそうな曲だったんですけど、それがメンバーに浸透してバンド・サウンドになるまで、時間をかけてやってよかったなって思いますね」

――メンバーの皆さんは、この楽曲に対して何か感想はおっしゃってました?

「いや、それはあんまり聞いてないです(笑)。うーーーん、アキラはそういうこと言うタイプじゃないから……〈プリプロ、たくさんやった甲斐があったなあ〉とか……正くんは、歌詞が全部書けたときに喜んでましたね。〈やっと収まる言葉が見つかったね〉って。温めていた時間が長かった曲だから……アレンジも、レコーディングの細かいところも、歌詞も、一個一個の正解を探す作業だから、全部出来てよかったね、みたいなこと言ってました」


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掲載: 2012年09月05日 18:01

更新: 2012年09月05日 18:01

インタヴュー・文/土田真弓