インタビュー

INTERVIEW(2)――もっと上手くなっていいはず



もっと上手くなっていいはず



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――この10年、自分たちが生きている音楽シーンを冷静に見つめることも多かったのではないかと思うんです。

「否応なしにいろんなことが変わっていきましたからね。そんななかでやっぱり僕が思うのは、あんまり売れてなくて良かったなってこと。まだまだ世の中がSTARDUST REVUEのことを知らないわけですよ。だから安心して、新人のようにどこにでも出て行けるんです。世の中が最初にスタレビに注目してくれた84年の“夢伝説”、あれがあと20%ぐらい多く売れていたなら、僕らは結構いい土俵に上がっちゃってたと思うんです。いわゆる〈ヒット曲〉ですね。そうすると、今年みたいに〈30周年でーす〉とか言うと〈まだやってたの?〉とか言われちゃう。別に興味ない人に何言われてもいいけど、好きで聴いてる人にとっては余計なお世話だよね。それはともかく、僕らは80年代にTVにちょこちょこ出してもらったり、いろいろなCMソングをやらせてもらったりしていたけど、90年代に入ってライヴの回数がダーッと増えたから、何となく〈ライヴ・バンド〉って肩書きになっちゃっただけ。なのに、そんなわれわれがたまにTVに出ると、妙にありがたがってもらえる(笑)。デビューしてから、何とか売れようとTVへ出たけど、全然売れないから矛先を変えて、もともと好きだったライヴという場所にバンドを置いただけ。計算なんか何もなかった。そういう意味で言えば、いわゆるメインの音楽シーンとは関係ない場所にいたのは事実だね」

――ああ、お話を伺っていると、なんかNRBQのようなライヴ・バンドの存在とダブるなあ。

「いや~、彼らも新しいアルバムが出たので、紹介かたがた実はそのことをラジオでずっと話をしていたんです。僕もNRBQ大好きなんだけど、あいつらの場合もっと売れてないと思うんですよ、僕らなんかよりもね(笑)。ただね、彼らは全員とてつもなく(演奏が)上手いんですよ。メンバーが変わってもちゃんと高いクォリティーを保ちながらアルバムを作れるってすごいことでしょ? その点はね、ホント刺激になってます。これだけライヴをやってるSTARDUST REVUEはもっと上手くなっていいはずだって」

――そうなんですか、そういう気持ちをずっと……。

「うん、いまだにメンバー間では〈とにかく練習!〉って言い合って、ちゃんと反省会もやってます。なかなかないでしょ(笑)? 新しく入ってきたスタッフもビックリするもん。そう言えば以前大阪で、スキマスイッチと秦基博くんとKANちゃんと僕らでジョイント・ライヴをやったことがあって、その合同リハーサルの時、僕がいつものように〈そこはもうちょっと気合い入れて頼むよ!〉とか〈コーラス、もっとピッと歌おうよ!〉とか、メンバーを怒ってるように見えたらしいんですよ。そしたら、大橋(卓弥)が必死に〈先輩、お願いだから喧嘩しないでください!〉って止めに入ってきてくれて。あとで彼らも笑ってたけど、僕らはデビュー前から35年もこういうやり方でやってきてるんです。だからこそ常に、もっと上手くなれるはずだって思ってる。まあ、それでもこの程度ですけどね(笑)」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年09月05日 18:00

更新: 2012年09月05日 18:00

インタヴュー・文/桑原シロー 写真提供/アップ フロント ワークス