小林道夫
「初共演する工藤重典さんの師匠とは初来日時に共演しました」
東京文化会館(東京・上野)で今秋から新たに始まった「プラチナ・ソワレ」。現代を代表する様々なジャンルの演奏家が、それぞれに工夫をこらしたプログラムで演奏会を行なう。第1回の須川展也(サクソフォン)に続き、11月16日には小林道夫(チェンバロ)と工藤重典(フルート)というこれまで実現しなかった組み合わせによる演奏会が行われる。
「工藤さんとは初共演です。工藤さんの師匠はランパルですが、実は私はランパルの初来日の時に共演しているんです。もともと私は吉田雅夫先生と共演することが多く、様々なことを教えて頂いたのですが、その吉田先生が推薦して下さって、ランパルの伴奏を務めることになりました。そして今回はそのお弟子さんである工藤さんとの共演ということで、時代を越えて師匠と弟子の関係であるフルート奏者と演奏するというのが、とても楽しみです」
と小林は抱負を語る。選曲もかなり凝っていて面白い。
「ヨハン・セバスティアン・バッハから始まり、その子供たちの時代を取り扱います。大バッハの音楽から時代が下るごとに、音楽の姿が変化していきますが、それがよく分かるようなプログラムだと思います。ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハの『キラキラ星の主題による変奏曲』も演奏します。チェンバロのソロ演奏ですが、彼の少し後の、皆さんがよく知っているモーツァルトの変奏曲と較べてみると、それぞれの時代のスタイルがよく分かるのではないかと思います」
フルートとの共演では、J・S・バッハの傑作である《フルートとクラヴィアのためのソナタ 第1番》やカール・フィリップ・エマニュエル・バッハの《フルートソナタ ト長調》などが並ぶ。東京文化会館の小ホールと関わりの深い小林道夫。そしてバッハの音楽を長く研究してきた小林ならではの演奏は、この秋の音楽ファンの話題となるだろう。
『プラチナ・ソワレ第2夜「バッハ親子とその時代」』
11/16(金)18:30開場/19:00開演
小林道夫(cemb.)ゲスト:工藤重典(fl)
曲目:J.S.バッハ:協奏曲ニ長調BWV972/フルートとクラヴィアのためのソナタ第1番ロ短調BWV1030/W.F.バッハ:協奏曲ト長調F.40/C.P.E.バッハ:フルート・ソナタト長調Wq.133/J.C.F.バッハ:キラキラ星の主題による変奏曲ト長調/J.C.バッハ:6つのフルート・ソナタよりニ長調Op.16 No.1
会場:東京文化会館小ホール
http://www.t-bunka.jp/