INTERVIEW(2)——初めて外に向けることを意識した
初めて外に向けることを意識した
――確かにこれまでの歌詞にメッセージ性をまったく見い出せなかったわけではないですが、より具体的に訴えかける内容にはなっていますよね。
「そうですね。いままでは何か言っていたとしても、すべて自分に向いていたんですよ。それを初めて外に向けることは意識しました。“LIGHTNING”というタイトルも、最初にみんなにデモを送った段階から付いていたんですよ。メッセージを乗せて、人に何かを伝える曲にしようというテーマがまずあったんですが、それには自分が本当に心から思っていること、信念になっているものじゃないとダメだと思うんですよ。僕は何をするにしても、明日、死ぬことになっても後悔しないような生き方をしたいんです。高校を辞めて、バンド一本にしていままでやってきたというのも、そういう考えのもとですからね。いまというこの一瞬一瞬をすごく大事にして生きていく。ずっとその連続できたから、それだけは強く言えるかなと。そういう意味で、すごくスピード感のあるもの、一瞬を捉える力強いものということから稲妻のイメージが浮かんで。当初は〈稲妻となれ〉という歌詞もあったぐらいなんですよ。メロディーが変わっていくにつれ、その一節はなくなってしまったんですけど。ただ、後悔しないように生きろというのは、パッと聴きは〈戒め〉のような、厳しい言葉にも思えるかもしれないですけど、そうではなくて、もうちょっと優しい、〈支え〉みたいなものなんですよ。人生は1回しかないんだから、好きなことやろうぜぐらいにね」
――実際に聴いた人がどんな言葉に打たれるのか興味深いですが、〈夜明けは待つものじゃない〉といった一節には特に惹き付けられましたね。つまり、自分の思うところに突き進めといったメッセージだと思いますし。いままでの葉月くんの歌詞では、表現を抽象的にして、核心をぼかすところもあったじゃないですか。“LIGHTNING”では、はっきりと言い切っているところに、曲調と相まっての強さを感じますね。
「いままでは歌詞に耳がいっちゃうのがイヤだったんですよね。あくまでも曲が主体であり、曲を引き立たせるための歌詞でしかなかったから、避けてきたところなんですけど、それを挑戦として、今回はやろうと。だから、どんな反応が返ってくるのか楽しみなんですけど、実は夏のツアーの後半では、もう“LIGHTNING”をやってたんですよ。そこで歌詞を聴き取れた人が結構手紙をくれるんですけど、〈涙が止まらないです〉という人もいるし、〈こんなことを言うんですか!?〉みたいな人もいるし(笑)」
――ただ、いままでの歌詞にも、同じような内容で綴られたものはありましたよね。
「ありました。ただ、いままでは独り言で、向かっているのがホントに自分だったので、今回は全然違うと思うんですよ。やっぱり伝えたいなと思うし。このCDが出たうえで、早くライヴでやりたいですね」
曲から妙なオーラが
――そうでしょうね。もう一方の“THE MORNING GLOW”は、今回のカップリング曲として選ばれた理由が何か見い出せますか?
「何だろう? リード曲用ではないデモのなかに4曲あったなかで、いままでのlynch.にはなかった感じではあったのと、キャラがちょっと異様だったということですね。何と表現していいかわからない感じが、妙なオーラを出してて。これが『INFERIORITY COMPLEX』の後、最初に出来た曲なんですよ。次はどうしていいかわからねぇなぁ、とりあえずテーマを決めず、曲でも作ろうと思って取り組んだらこれが出来たんですよ(笑)」
――どの部分から出来たんですか?
「頭のベースの部分ですね」
――やはりそうでしたか。あのベース・サウンドがすごく印象的に響いてきますもんね。
「あれが命ですよ。ベースの8分弾きで曲を組み立てたいという思いからまず作ったんで。Jさん(LUNA SEA)になりきってね(笑)。ギターテックさんが、ずっとJさんの音を作っている方なので、〈あれはどういうふうに作ってるんですか?〉なんて話もして。機材も全部同じなんですよ。だから完璧ですね(笑)。全然難しくないけどカッコ良い。若い子がベースを始めたくなるキッカケになれば嬉しいですけどね」
――でも、確かに弾きたくなるベースでしょうね。曲そのものは、思っていた以上に化けた感覚もあるんですか?
「歌詞もそうですけど、歌い回しも、もうちょっとダークな感じでいくのかなと思ってたんですけど、こんなに爽やかになるとは思ってなかったですね。今回は素直に周りの大人の言うことを聞くというコンセプトで動いているので(笑)、“LIGHTNING”もそうですけど、歌い方もディレクターからいろいろと指摘されたんですよ。癖というか、いわゆる一般の人たちが聴きにくい歌い方を取りたかったんだと思うんですけど」
――間奏もまたおもしろさを象徴する気がするんですよね。
「ギター・ソロは悠介くんが勝手に持ってきて勝手に弾いて終わった感じですね。僕からのオーダーは、途中に出てくるライトハンドにハモりを入れてほしいと言ったぐらいですね。ライヴではそれを玲央さんがハモるわけではないんですけど(笑)」
――そうなんですか? その後の変則的なアンサンブルも曲の個性を際立たせるパートだと思うんですよ。
「そうですね。4分の4から4分の3か。あれは自然に出てきたフレーズなんですけど、最初は自分で弾いてても、変拍子だと気付かなかったんですよ」
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