INTERVIEW(2)――基本的にはキャッチーでいたい
基本的にはキャッチーでいたい
――3人というミニマムな編成だからこそできるものもありますよね?
長岡「うん、確実にありますね」
河村「無理に音を詰め込まず、隙間の多いアレンジでもいいものはできると思いますしね。音を足そうと思えば3人でもやれることはたくさんあるし」
長岡「(音の)引き算をポジティヴに捉えられるというか。ときには音の隙間も必要ですからね」
――ペトロールズの場合、5~6人編成のアレンジを3人で表現しようとしてるわけじゃない、と。
長岡「そう、全然違うと思う」
――逆に3人の不自由さを感じることはあります?
長岡「ええっと……ないです。それで不自由だと思ったら別のバンドをやればいいし」
三浦「彼(長岡)はギターっぽくないフレーズを弾くんですよ。鍵盤みたいに弾くこともあるので、そうすると僕もわざわざベースらしいフレーズを弾く必要がなくなってくるんです」
長岡「ベースで(ギターのように)コードを弾いてるときもあるもんね」
――長岡さんのそういうフレージングってどこから出てきたんですか。カントリーやブルーグラスの演奏もやってらっしゃるじゃないですか。その影響?
長岡「それはあるかもしれないですね。でも……何でこんなにヘンなギターを弾くようになっちゃったんだろう(笑)。確かにバリバリ弾いてるときはカントリーやブルーグラスのフレイヴァーは出てると思うんですけど、歌のバックのフレージングはどこからきてるのか……」
三浦「たぶんイメージしてるフレーズがギターじゃないんだと思う。それこそ鍵盤だったりホーン・セクションだったり、もしくはスクラッチだったり」
長岡「そうかもね。なおかつそのフレーズをそのままやるのもイヤだし、そこがおもしろい」
――ホーン・セクションの代わりをギターでやろうとしてるわけじゃないわけですね。
長岡「そうそう。イメージした音を3人で変換すると結果別モノになっちゃうし、それが楽しいんです」
――つまり、ペトロールズは定型のスタイルに沿ったものをやっても楽しくない3人が集まっちゃった?
長岡「僕自身はそうですね。だから、なかなか音楽友達ができないんです(笑)。この2人は偉いですよ、僕が無茶をお願いしても文句も言わないでやってくれますから」
河村「本当にヒドイっすよ。ライヴのリハでいきなり新曲持ってきたり、アレンジが変わったり……」
長岡「リハに新曲を持って行って、ライヴ当日に歌詞が書き上がって、それをステージで初めて歌う、そんなこともありますから(笑)。このバンドは本当にフリーフォームなんですよ」
――ただ、フリーフォームであっても完全なフリー・インプロヴィゼーションとはいかない。
河村「そうですね。好き勝手にやりすぎると聴く側も楽しめないと思うし、自己満足にもならないんじゃないかと」
長岡「基本的にはキャッチーでいたいんですよ。いまの曲がキャッチーかどうかわからないけど(笑)」
――いやいや、キャッチーですよ! 鼻歌で歌いたくなっちゃう感じだし。
三浦「それは嬉しいですね」
長岡「そこは前提な気がするな」
――もしも どこかの雑誌で〈馬鹿テクのテクニシャン集団〉なんて書かれたら……。
長岡「やだやだ。だいたい馬鹿テクじゃないし(笑)」